
タイトル:デアデビル:ボーン・アゲイン シーズン2
監督:ジャスティン・ベンソン
アーロン・ムーアヘッド
形態:配信ドラマ
既か未か:未
『デアデビル:ボーン・アゲイン シーズン2』みた。
MCUのドラマシリーズ。説明はややこしいので省略するが、デアデビルシリーズはただならぬ道のりを登ってきており、一応俺は全部見ている。順番的にはネットフリックス版のシーズン1〜3があってその次にこのボーンアゲインシリーズが存在する。ネットフリックスでマーベルがやってたドラマはディフェンダーズサーガと呼ばれており、本家MCUとの統合が図られてきたり、諦められて捨て置かれたりした。それがついに本家へ輸入されるというシリーズがこのボーンアゲイン。軽く言うとね。
ディフェンダーズサーガに関してはデアデビル全シーズンとジェシカとルークのシーズン1だけ見た。結構頑張ってる方だと思う。サーガのリーダー的存在のデアデビル、中でもライバル・キングピンが活躍するシーズン1と3はわけわからんくらい面白かった。が、他はそんなでもなかった。ジェシカに出てくるヴィラン・キルグレイヴがすごく良かったがそんくらい。キルグレイヴ役のデヴィット・テナントにハマるきっかけになった。
ボーン・アゲインシーズン1はMCU黎明期(今もそうだが)に作りかけられて、シナリオが気に食わんとやり直し、そして満をじしてお出しされた。そんな経歴だけあってかなり面白いドラマだった。面白いドラマだったが、重要な要素は全てシーズン2に持ち越して終わったので評価しづらくもあった。そして、いつまでキングピン=ウィルソン・フィスクと戦うねんとも思わされた。
トランプ風刺のためにフィスクはニューヨーク市長になった。一方で人間的ドラマも何もないトランプと違い、フィスクはドラマを交えてじっくり描くキャラなのでシーズン2ではしれっと従来のフィスクに戻って濃いドラマが描かれた。トランプ批判を行って悪役を出すと悪役を魅力的にけくことができないというジレンマはちょうど同時期にやってる『ザ・ボーイズ』なんかも抱えているものではあるので大変だと思う。
ネタバレあり
幼い頃に失明したマット・マードック(チャーリー・コックス)は昼は弁護士、夜は盲目のヴィジランテ・デアデビルとして正義のために戦う。マットはニューヨークに君臨する犯罪組織のボス・ウィルソン・フィスク(ヴィンセント・ドノフリオ)との戦いに身を置くことになる。友人フォギー(エルデン・ヘンソン)がブルズアイ(ウィルソン・ベゼル)というヴィランに殺されたことからマットは自警団を引退。しかし、フィスクがニューヨークの市長になり、マットは再びコスチュームを身に纏う。フィスクは自警団禁止法や特別部隊・AVTFを使ってマットを追い込む。マットは友人のカレン(デボラ・アン・ウォール)やディフェンダーズの仲間・ジェシカ(クリステン・リッター)に助けを求め反乱軍を結成する。
というのがシーズン1のあらすじ。リアルタイムの奇跡の話をすると、シーズン1でフィスクが自警団対策に「夜間外出禁止令」を出した話の数週後に現実世界のロスでデモが起きてトランプが夜間外出禁止令が敢行された。奇跡というか、ドラマが現実を言い当てた形。現アメリカは『サウスパーク』が風刺に困ってた通り、漫画みたいな世界になっているのでこれも象徴的と言える。
シーズン1は上記の通り、面白かったんだが、反乱軍結成!で終わったので消化不良気味だった。それも、こちとらジェシカやルーク・ケイジがサプライズで出ることは読めてるのにそれすらやらんというズッコケ具合。シーズン2も謎にジェシカを出し惜しんでいてもはや出た頃には若干、どうでも良かった。ただその理由には他の要素が素晴らしかったということもある。し、なんかジェシカの俳優のクリステン・リッターが忙しかったらしいとも言われてるので別にいい。
素晴らしかった要素はなんといってもブルズアイの大抜擢です。ブルズアイことベンジャミン・ポインデクスター、デックス。彼が一番良かった。というか良すぎてマットとかフィスクを食いかけていた。
シーズン1は、というかこのシリーズは当初ネトフリ版とは関係ないものとして作られてたらしい。(当時、カレン役の人とかが制作決定の際に「今までありがとう…」とか匂わせ投稿していた。)ただ、ディフェンダーズサーガファンの多さ(ほんとか?)やMCU自体が傾きかけていたことにより続編として制作されることになった。デックスはネトフリ版のシーズン3で大活躍したが、シーズン3のヴィランはフィスクだったので、エンドロール後にまだまだやりまっせとニヤニヤしたデックスが出てきただけで終わった。
なので、多分、元々デックスは今シリーズに登場する予定などなかったのだろう、シーズン1でフォギーを殺して以降は生死不明になっていた。生死不明ってのは、マットが激情に駆られてデックスを殺しかけたからだ。(そしてこれが理由でデアデビルを引退した。)一応生きてるのはシーズン1で語られたが、まあ割とどうでも良さそうなことしかしなかった。そして、シーズン1ではほとんど同じキャラのミューズが活躍したので影が薄くなった。不安定なシリアルキラー。中身は若くてイケメン、そして本人だけの美学を持ってる、人を殺すのに躊躇とかなしみたいに同じとこばっかり。
そんな彼だったが、シーズン2冒頭でAVTFにやられかけたマットを助けてからは文字通り大活躍で最終話まで出張っていた。4話冒頭でAVTFをわざと誘き寄せてカフェテリア内で殺しまくるシーンは一般人への迷惑も含めて倫理的には最低のシーンだ。だが、AVTFのクソさ(現実世界のICEまんま)ウィわからせられているので、そして高潔なマットは人を殺せないので、めちゃくちゃ最高なシーンだった。ブルズアイの投げたものが絶対に相手に当たるという能力もいい。ものを投げるってこの世で一番かっこいい能力だと思う。ガチで。
5話が最高だったのでそれを軸に感想書こう。
シーズン2・5話『大いなる計画』
フォギーをデックスが殺した理由はフィスクの妻・ヴァネッサに雇われたからだった。ヴァネッサはネトフリ版シーズン1から出ている古参キャラでやけに好戦的な女性だ。シーズン3でマットとフィスクがたてた停戦協定は彼女によって破られたのであった。
そして4話ではデックスがフォギーを殺したのにも関わらず、マットに協力的(人は殺しまくるが)な理由が明らかになる。それは彼の美学であった。デックスはフォギーを命令とはいえ殺してしまった償いをしたかったのだ。だが、その償いはマットや誰かのためではない。彼の中で満足できるかが争点だった。こいつやべぇ。
デックス曰く、良き行いで帳尻を合わせるらしい。そしてデックスは勝手に行動してフィスクの妻、ヴァネッサを攻撃する。と同時に、当然の如くフィスクの目の前でヴァネッサを攻撃したデックスは反撃をくらい重体に。
5話は重体となったヴァネッサの元で彼女の命を祈るフィスクと重体のデックスをAVTFから逃がそうとするマットの話だ。過去回想を交えながら彼らが死ぬか生きるかを描写する、時間的には全然経ってないが、メタ的にはドラマを前に進ませまくる1話。
5話ではマットが重体のデックスをなぜ救おうとするかが語られる。それはフォギーとの過去が理由だった。この話、最高すぎる反面、抽象的な内容以外忘れたんだが、フォギーの善性がマットに影響を与えたという話。ネトフリ版の回想っぽい感じで過去が挟まれるんだが、最高すぎた。ネトフリ版とボーン・アゲインシーズンで画面サイズが違うので、画面サイズが変わるごとに「懐かしっ」という気分にさせてくれる。そしてそのネトフリ版へのリスペクトとともに、「善性」というこのドラマと直接結びつくエピソード。さらにそれと同時に古参キャラ・ヴァネッサの退場も同時に行う。もう完璧すぎるエピソードだった。
5話ラストでデックスを諦めるようとするも、やっぱり踏ん張って助ける道を選ぶマット。あんま覚えてないが、シーズン1のウラジミールと逃げるとこのオマージュっぽくもあるよな。そして今度は助けきるマット。フォギーの信じた善性、これこそがシーズン2の解決策となる。
最終話の話をする前にちょっと話すが、クリステン・リッターって現実離れしたかわいさを持ってると思う。詳しくは『HELP』の映画の感想に書いた。
そしてちゃんとドラマに即した話をすると、今シーズンで輝いたのはダニエルというキャラクター。彼はフィスクへ憧れており、一方フィスクは信仰心は金で買えないとして彼を副市長の座につける。まあ色々あるんだが、敵サイドとはいえ、ネトフリ版のユーリックやナディームみたいに一般人だが、命と引き換えにフィスクにいっぱい食わせる系のキャラ。ダニエルは登場時から次世代フィスクになるのか、反旗を翻すのかわからなかったからこそ、フィスクに噛みついてフィスクの右腕・バックに殺されるシーンのカタルシスがすごかった。
ダニエルが殴られまくって怯えながらも、バックになんの意味があるのか、フィスクが怖いのかと問い続けるシーンは最高だった。このドラマの配信が毎週水曜ということで『ザ・ボーイズ』の配信曜日と被ってるんだが、この話の1週間前くらいの話でボーイズ内のダニエルみたいな立ち位置のキャラ・アシュリーがマルティン・ニメラーの詩を思い浮かべる。『彼らが共産主義者を殺した時』のやつ。ダニエルが死ぬシーンで俺はこれ思い浮かんだ。ダニエルには是非バックにこの詩を言って欲しかったところではある。「彼らがダニエルを殺した時、私は声を上げなかった、次は君だよ」みたいな感じで。これ、少年漫画だったら決めゴマになってるかっこよさ。吉良に康一君が殺されるシーンに近いよね。「お前はバカ丸出しだッ!」のとこ。ダニエルはZ世代なのでそんな教養がなさそうなとこが残念だ。
彼はこのドラマを引き締めて面白くしてくれた。ユーリック、ナディームのようなかっこ良さにはギリ負けてるが、すごく良かった。
シーズン2・最終話『サザンクロス』
マットはフィスクを打ち倒すためにある方法を実行することに。それは法廷でデアデビルとしての正体を明かすことだった。思えば、ボーン・アゲインシーズン1でヘクター・アヤラが取った手法であり伏線回収だ。
デアデビルが正体を明かすシーンはめちゃくちゃカタルシスがあって良かったんだが、完全にのめり込むことはできなかった。いろんな人が予想してたし。演出も良かったが、決まりきってはなかったかな。もし誰も予想してなけりゃ、「え????」って感じで最高だったので勿体無い。誰かの予想とか読むもんじゃないね。全く。
そして真相が明らかになり、法廷に傾れ込む人々。フィスクは法廷を占拠し、AVTFに守らせる。しかし、AVTFの中の善良な人間がデモ隊たちを中にいれ、フィスクvsデモ隊が始まる。地獄のような絵面を静止するデアデビル。マットはフィスクと対面し、3度目の協定(各シーズン最終話以外ならもっとしてる)を結ぶ。条件はフィスクがニューヨークを去ることだった。代わりにマットは逮捕される。カレンと最後のデートを楽しむシーンは泣ける。
最終話、やってることや語ってる内容はすごくいいんですがやっぱ真面目だなと思ってしまった。そして決まりきった画が若干なかった。先述のカレンとのデートとか、デモ隊に押しつぶされるフィスクはめちゃくちゃ良かったが、それ以上に物語の重要ポイントであるデアデビルの正体バレやマットとフィスクの最終協定がキマってて欲しかった。ネトフリ版シーズン3の絶叫するマットとか、シーズン1の満をじして対面した両者の凄みには勝てなかった印象を持ってしまった。
もちろん最高でしたが。そしてこれは先述した通り、『ザ・ボーイズ シーズン5』のせいもあると思う。まず配信時間が同じ曜日の、こっちは朝10時、ボーイズは16時ということで、どうしてもデアデビル→ボーイズの順番で見てしまう。そしてボーイズ側はデアデビルの偉いドラマと対照的に良くも悪くもめちゃくちゃやってるので印象に残ってしまう。流石にデアデビル5話の時はその後にボーイズを見ても5話の方が面白かったが。だから、毎週デアデビルの感覚がリセットされてしまう感じだった。一気見すれば良かった。もしくはシーズン1,2に分けるな。
そんな感じでした。ネトフリ版の方が好きだったような気もするが、ボーンアゲインもまたすごく楽しかった。というか、最終的に暴力で締めたネトフリ版に対してアンサーを出したという意味でボーン・アゲインはガチで偉いと思う。それでこそ、フォギーが信じた善性が生きるのだから。思い返すとめちゃくちゃ良質だ。
現実世界も分断はどんどん先鋭化されていき、対立しか生まない。デアデビル側について法廷を襲撃したデモ隊は、彼らは正しいのかもしれないが、フィスクを倒すことしかできない。解決はできない。双方が近づくことでしか。だからフォギーの善性が生きるのです。先述の凄みが薄れるのもある種仕方ない。
ドラマの感想は以上で今後のMCUについても書く。
本シーズンでジェシカ登場の予想はできてたが、さらなるサプライズキャラ:ルーク・ケイジ登場の予想は…できてた。ルークを演じるマイク・コルターがバカすぎてSNSでジェシカ役とダニー(アイアンフィスト)役とのスリーショットをあげたせいってのもあるが、普通にそりゃ出るでしょ。ルークもアイアンフィストもマーベルにおいては割と捨てれないキャラなのでリキャストでもせん限り(そしてマットとかジェシカは同一キャストなのに彼らだけ変えると心象悪すぎる)出ると思う。さらにいうと次のマーベル映画『スパイダーマンBND』にザ・ハンドというディフェンダーズの敵も出るし。だからもうちょい予測できないサプライズが欲しかったところはある。まあ無理とはわかってたが、エンドロール後でもいいからスパイディ出してくれれば最高だった。
ちなみにジェシカとルークは結婚してた。ルークは出てくるたびにセックスしてベッドを壊すイメージ。思春期か。
今後のデアデビルはもうvsフィスクはやりきったのでいいです。ブルズアイもだいぶ美味しい感じになったので誰出すんだろう。ブルズアイはもうサンダーボルツ参加させていいくらい丸くなったので原作ブルズアイのようなガチサイコパスも出してほしい。ブルズアイがどれだけサイコかは是非このブログのアメコミ感想文『ダークアベンジャーズ読んだ感想』を参照してほしい。(頑張ってリンク埋め込んだので入ってみてほしい!笑)コナンの記事ばっかアクセスされるんよな。
デアデビルの敵キャラは全然知らんから楽しみ。ただ、ネトフリ版の時からしてスティック含むヤミノテ方向は全然面白くなかったので「法廷モノ」としてもやってけるようなキャラが出てほしい。
客演だが、ドゥームズデイとかに出れそうなわけもないので、ストリートヒーローで映画が作られることを期待。そういう意味ではスパイダーマンBNDに出る可能性はあるよね。ともかく、チャーリー・コックスのデアデビルが無事にボーン・アゲインできて良かったでした。