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【感想】『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディション』/神殺しの物語

タイトル:バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディション

  監督:ザック・スナイダー

  形態:DVD

既か未か:未(通常盤は既)

 

『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生 アルティメット・エディション』みた。

 

今は亡きDCEUの方向転換前の、つまり初期構想の2作目。DCEUはその顛末があほらしすぎて語るのは極めて楽しいが、前提からさらっていくのがだるいためやらない。

まあちなみに当時は爆死した。興収はわからんが、評価が極めて低くラジー賞を取りまくった。同年には同じヒーロー対決ものの『シビル・ウォー』が公開されたので本当、公開処刑みたいな感じでボコボコにされた。

だいぶ前に見たんだが、まあ別にクソってほどではないもののよくわからんと思ったのは事実だった。とりあえず雰囲気で映画を見てた時期だったのでラストで盛り上がれて楽しかったが、ストーリーとかはガチでわけわからなかった。だから今回初見のように楽しむことができた。

 

そして本作はその2作目のBvSのディレクターズ・カットだ。当時ストーリーがわけわからんと言われまくった影響か、公開時より30分ほどシーンを追加して再編集したらしい。本作の監督、ザック・スナイダーはこの世の中を舐めてるのか知らんが、自身のフィルモグラフィーの大半にディレクターズ・カットを後出しする。ジャスティス・リーグとかに至っては「スナイダー・カットあるよ チラッチラッ」とやってきて腹立たしかった。そしてさらに腹立たしいことにディレクターズ・カットは面白かった。

最初から面白く作れやというところである。そしてこいつの映画は異常に長い。本作は元から2時間半あるのに今回見たアルティメット版は3時間だ。ジャスティス・リーグは4時間。これ、映画が重厚だからっていう人も結構いるけど、絶望的なまでに取捨選択が下手くそなんじゃないかと思う。だから上映ように時間を短くしたら、切っちゃダメなところを切ってしまうんではなかろうか。

 

多分、ザックは自由にやらせつつも誰かが手綱を握ったほうがいい感じはするので、DCEUのように統括者じゃなくて現在のDCUで完全に純粋なクリエイターとして何か作って欲しい。というか、厨二的カッコいい画作りはこの世で一番だと思うので(ガチ)、共同監督とかでやってほしい。

 

ネタバレあり

 

宇宙から来た男・スーパーマン(ヘンリー・カヴィル)。スーパーマンは故郷からの強敵との戦いを通じて人類や街に大きな被害を出してしまう。スーパーマンの強すぎる力は人々にとってはもはや脅威だ。そんな神の如き力を持つ男に立ち向かわんとするのはバットマン(ベン・アフレック)。彼は故郷のゴッサムシティの自警団。表の顔はウェイン産業の社長ブルース・ウェイン。ブルースは人間を代表してスーパーマンを打倒するために立ち上がる。勝つのは神か。人か。そしてその戦いの裏にはある男による陰謀が渦巻いていた…。

 

陰謀が渦巻いていた…。とか言ってるがご存知の通り、レックス・ルーサーです。スープス(ズーパーマン)のライバルでお馴染み、ルーサーが裏で手を引いてバットマンとスーパーマンをぶつけるという話。でさらにいうと、ドゥームズディが出て来てスープスは死ぬ。そういうお話。

 

2時間半の方はもはやあんまり覚えてない。今回のアルティメット版ではなんだか、スープスの心情描写が丁寧になっており、共感性が高い。確か、2時間半の方ではただただ落ち込んでる薄暗いやつだった気がする。一方で今作では自身の戦いの被害者を見て落ち込んだり、記者:クラーク・ケントとしてゴッサムに行ってバッツとの戦いのモチベを出したりと行動原理がわかりやすい。

今作のやりたいことは詰まるところスーパーマンは神か?人か?に尽きるので、そしてまあ人なんで観客が共感できないと意味がゼロ。そういう意味では3時間もたっぷりクラークakaカル=エルを描いてくれたので共感バッチリ。

 

あとはバッツサイド。とはいえ、多分ザック・スナイダーはバッツが好きっぽく、元から丁寧に描かれてる印象はあった。序盤は彼のモノローグから始まる。また、その後、スープスの戦いを地上から見つめながら被害者である一般人を助けるシーンは冴えてる。ブルースはこの時にスープスへの怒りを持ったんだなとわかりやすい。色々といいね。

ただ、まだ読んでないのでなんともだが、『ダークナイト・リターンズ』をベースにしたバッツ造形らしく、微妙なとこもある。その一つは不殺主義じゃなさそうなところと、カジュアルに銃を使いそうになるところ。あと、ルーサーに手玉に取られすぎてるのも嫌だったし、捕まえた犯罪者に焼印をつけ始めるのも嫌だ。ちょっと厨二すぎる。そして、ラストシーンで焼印を持ってるところはトップクラスにダサかった。犯罪者にとってのバッツの怖さってもっと根源的なものなのよ。なんか、半グレみたいになっててやだった。

ただ、ベン・アフレックのバッツは過去一好き。ブルース状態の渋さもいいし、本作のアーマードバットマンもバカかっこいい(フィギュア買った)。DCEUのキャラ、もう全員バイバイって感じだが、バッツとハーレイ、スープスは残ってて欲しかった。

 

レックス・ルーサーはいつものって感じではないがこれはこれでいい。チャラ系IT社長だが、その実、虎視眈々と「神殺し」を狙っている。多分理由は父が殺されたからとかそんなとこだろう。2025年版のレックスは完全にスープスの鏡像でいつものルーサーだったが、今回においてはバッツの鏡像に近い。今作自体が「神殺し」の様相を呈しているので彼の役割は結構大事。

通常盤ではガチで何やってたか覚えてないんだが、今回で結構色々やってたのねと気付かされた。特に関係者、そして使い捨ての駒をバンバン殺しまくるのであくどい。そしてドゥームズデイを誕生させる狂気。クリプトナイトを用意したり鉛で透視対策したり、武器輸出したりとかもう全部こいつがやってる。バッツは後追いなので。

演じたジェシー・アイゼンバーグは今作がでかい役柄だと思ったんだろう、自作からはいつものでいきまっせということでエンディングで坊主に。ただ、そのボズが生かされることはなかった。(スナイダーカットでは出た。)同時期のグランド一リュージョン2ではその影響か坊主アイゼンバーグが見られる。今作は派手にコケて幾つかの契約がパァになったんだろうなと考えると可哀そうだが愉快な気分にもなれる。

 

あとはワンダーウーマンが出てくる。彼女は伏線こそあれ、終盤かっこいいところでいきなり出てきて美味しいところをあらかた持っていくのでちょっとせこい。でもかっこいい。ダイアナに関してはアルティメット版で追加とかなかったんじゃないかな。元から印象が強すぎて全部覚えてるので今回は特段言いたいこともない。通常盤BvSがタイトルに反してワンダーウーマンが一番良かったのでその時より進歩だ。ちなみに目立ちすぎてポスターにおいてもどんどん前に迫り出してきて、アルティメット版ではセンターを陣取るという快挙。こういうのよ。DCEUが無限に語れる理由。

 

多分通常盤はガチでわけわからなかったんだが、今回は割とわけわかる。ロイスもめちゃ活躍するし、3時間で疲れるが満足度はかなり高かった。そしてようやくやりたいことがわかりました。

上述もしたが、本作は「神殺し」そして「それは神なのか?人なのか?」をやりたかったんだなと理解できた。そしてその文脈で紐どいていくと、かなり完成度は高いなと思えた。まず、ザックの神を描く力がすごい。ザック体制下で描かれるスープスは迫力がすごく、明るいみんなの味方というよ理、むしろちょっと怖い。空を飛ぶ時も轟音が鳴って周りを風圧でぶっ飛ばすし、完全に人ならざるもののような描写がなされる。一方でロイスとの触れ合いや父との邂逅を通じて人間としてのスープス=クラークを描く。

クライマックスでついにぶつかるバッツとスープス。バッツは殺意マシマシで攻撃。これに対してスープスが手加減してようやくトントンというバランス感覚もいい。このバトル、アルティメットで追加とかあんまりないし、元から大好きなんだが、あんま好評じゃないイメージ。そしてクラークとブルースのママの名前が同じということによって決着。これも馬鹿にされるが、そうじゃない。ブルースは自分が殺そうとしている存在には母がいること=神ではないことを理解したということだ。名シーンでしょ。この展開に偶然彼らの母の名前が同じことを使ったろというのは若干鼻につくが良いシーンには違いない。

 

そして一行はドゥームズデイと戦うことに。ここで神さながらの戦いをするスープスもいい。スーパーマンは神であり人であるのだ。うまく言い表すことはできん。でもシンボルとしてのスーパーマンというマストにしてベストの展開をちゃんとやってくれたので文句はない。

 

普通に面白かったが、それ故にあんま言うことはない。強いて言うなら画面が暗すぎる。家で見るのは疲れる長さなだけに、画面光度が追い打ちをかける。でも、公開時とかにBvS見ておもんなかったと思った人はちょっとアルティメット版見てほしい。長くて疲れるけど。