THE さめ 映画とか感想

映画好きです。

【感想】『アルゴ』/事実は小説と同じくらいは奇なり

タイトル:アルゴ

  監督:ベン・アフレック

  形態:映画

既か未か:未

 

『アルゴ』みた。

 

第85回アカデミー作品賞受賞作。この年の他のノミネート作は『ジャンゴ』とか『レ・ミゼラブル』とかだった。すごいね。

ベン・アフレック主演、監督で実話をベースにした物語。イランのアメリカ大使館に囚われた人質救出作戦のお話。人質救出のためにCIA捜査官ベンアフの取る方法は架空の映画を作ることだった。架空の映画『アルゴ』のロケハンに人質を偽装し空港から堂々と帰る。ガチの実話らしい。なんかいつも思ってる方向性とは違うが「映画の力」を感じさせる。

 

イラン・アメリカ情勢は残念なことにタイムリーになってしまってるので、他の映画を見てる時と緊迫感がダンチ。本作は2012年の映画ということで、なおかつ本出来事が起こったのは80年代らしく、描かれ方とかは若干古い。イラン側を完全に悪として切り離してるわけではないが、100アメリカン目線の映画ではある。これぞハリウッド。だから、手放しでタイムリーとかも正直言いづらいよね。この映画内の時代情勢的には「イランがやばい!やれやれ」みたいな感じだが、現代は明らかにアメリカ大統領が有事を起こしにいってるので。

正直、中東情勢は授業でさらっと触れた程度で、あんまり詳しくはない。基礎知識は抑えてる程度だ。だが、そんな人でも楽しめるよ。この映画はかまいたち山内の好きな映画らしく、見終わった後YouTubeで紹介してる動画を見てみた。まさかのイランをイスラエルと間違えていた。俺の中東知識はイランとイスラエルは間違えない程度というのがベストだろうか。

 

映画の内容に絞った時に、その中東の〜とかを深く語る内容ではないので前文で触れるのみ。山内が間違えるのもやむなし程度にイランは舞台装置として単純化されてる感じはある。本旨がそこじゃないことに加え、申し訳程度の説明は映画冒頭でなされるのでそこに苦言を呈するような感想はズレてると思うので単純に映画自体の感想を書く。面白かった!!

 

ネタバレあり

 

イラン革命により、イラン国王が放逐される。亡命した国王を受け入れたのはアメリカ。このことに反発したイラン国内の反米デモ隊がテヘランのアメリカ大使館を占拠。アメリカ外交官が人質に取られる。そんな中、占拠直前に6人の外交官が大使館から脱出。カナダ大使館の公邸に匿われる。この6人をイランから救出するために呼ばれたのがCIA捜査官トニー・メンデス(ベン・アフレック)。トニーは『アルゴ』という架空のSF映画をでっち上げて、6人をそのスタッフと偽装し脱出させる計画を立てる。

 

革命時のイランの国内は一触即発状態。国王は贅沢のためにめちゃくちゃやってる人だったらしく、その亡命を受け入れたアメリカへの怒りは大きい。具体的には街でアメリカ人を見るだけで難癖をつけて絡みに行くレベル。そして、魔女裁判レベルのことが起きてたらしく(映画内情報で実際どうかはしらん)メルアドにアメリカ人の宛先があるだけでスパイ扱いされてたらしい。これは多分実際の写真だと思うが、市街でクレーンの先にロープをくくりつけ、首吊り処刑が行われたりもしてた。たびたび5月4日に日本人は中国行かないほうがいいと聞くが、実際こんな感じに近いのかな?知らんが。

そんな状態で監視の目も厳しいため、でっちあげる映画『アルゴ』がただのハリボテではイラン脱出時にバレてしまう。トニーはハリウッドの関係者と連絡をとり、実在の人物、『猿の惑星』とかのメイクアップアーティスト、ジョン・チェンバースに助けを求める。チェンバースは知り合いでこの状況を受け入れてくれそうな監督、レスター・シーゲルを招集、作戦が始まる。

実際にスタジオも作って役者も集めて読み合わせもする。この辺のシーンが純粋に楽しい。映画裏方モノといえば最近見た『ワンダーマン』がそれに近い。ワクワクするね。前半はハリウッドワクワク、後半はイラン国内での緊迫感あふれる脱出劇ということで見応えも抜群だ。

 

選挙されたアメリカ大使館内部ではイランの子供たちがバラバラになった紙を揃えてて、何してるんだろう、かわいらしいなとか思ってたが、外交官脱出時にシュレッターにかけられた書類を再構成していたのだった。怖いわ。逃げ出した外交官の顔を探すためにバラバラにされた書類をパズルみたいに合わせて情報を得る。このブログ上記のポスター写真みたいな感じだ。怖かった。

 

特に終盤の空港シーンの張り詰めた感じがすごい。空港ではイランの軍人が一人一人アメリカ人の存在を確認する。アメリカ人ってだけでやばいのでロケハンは全員カナダ人という設定で偽装している。一つ一つの関門を結構紙一重で乗り越えていき、最後のチェック。ここで全員が別室に連れられてしまう。必死に映画の話をする一同。しかし、軍人たちが何か話している。イラン語?というのかわかんないけどこちら側がわからない言語で深刻そうに話しているのが純粋に怖い。もちろん字幕もないので見てるこっちもトニーや外交官のみんなと同じ緊張だ。この緊張感が素晴らしかった。

なんとか乗り越え、飛行機に乗る一同。まだ緊張は解けない。そして機内アナウンスでイラン領空を出たことを知る。ここで涙を流しながら喜ぶ外交官たち。本当に良かった。

 

救出された外交官の安全確保のためにもCIAの『アルゴ』作戦は隠され、カナダのによる救出作戦だったと公式には述べられた。ここまで偉大な作戦だったにもかかわらずトニーはその功績を隠さざるを得なかった。チェンバースとかシーゲルは人質が助かったことを知ってるので、アルゴのスタジオを撤収。撤収時に他の関係者にアルゴのことを聞かれて、陰でニヤニヤしながら頓挫したよっていうシーンも好き。アルゴが救出作戦だったことは彼ら以外誰も知らない。表向きには制作頓挫した映画でしかなかった。陰で生きて陰で死ぬって感じね。

 

シンプルに面白い映画だった。まあ正直、トニーの自身の子との関係とか前述の「栄光を知るものはいない」とかが全部有機的にバチっと組み合わさってる感じではなかった。でも面白かったね。まあ実話だから変にばちばち脚色しまくる必要はないしいいでしょう。

 

実話だから、軽い物言いはあんま良くないと思うが、すごくワクワクした。映画をでっち上げて人質救出ってそんな漫画みたいなことが起きるんだね。スパイになりたくてCIAとかMI6の新卒採用がないかどうか探したのが懐かしい。公安は嫌なんだよ。安室君が嫌いだから。ただ、俺は口が軽いのですぐ言っちゃうなと思った。アルゴのこととか喋りまくると思う。喋りすぎて、ハリウッド内で頓挫した映画のことを陰で作戦に使われてたのか〜?という揶揄を込めて「アルゴ」と呼ぶ風潮を作ってしまいそうだ。

 

かなり余談なんだが、本映画の脚本のクリス・テリオさんはアルゴ以外にDCEUの『バットマンvsスーパーマン』、『ジャスティス・リーグ』(ジョス版、ザック版ともに)の脚本を務めている。なんか納得。正直、ザックの作風も大きな影響を与えてるとは思うが、クリス・テリオのトーンもなんとなくわかった。その上であえて言うと、登場人物の考えてることがわかりにくいんよ。本作『アルゴ』は比較的わかりやすかったが、『BvS』等ではもっとわかりやすくしてもいいのではと思った。なんか全てが有機的に繋がった脚本ではないなという感じ。そこに主役のわかりやすい感情を一本太い槍として貫いたほうがもっといい気がする。『アルゴ』に関しても息子へのトニーの感情をもうちょい膨らませるか、もしくは切って他のドラマを作るかしたほうが良かったのでは。素人目線でしかないのでテリオは世界のどこかでこの文章を見てイライラすることだろう。

 

そんな感じですごくいい作品でした。カラッと見れてほどよい。ちょっと現実を考えると頭は痛くなるが。いうことしかできないが平和を祈っている。一人でも多くの人が傷つかない世界を。