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【感想】『暗殺教室』全21巻/俺の青春。掘り返して再認識・内省してまた埋めるのが思い出との付き合い方。

タイトル:暗殺教室

 原作者:松井優征

  形態:漫画

既か未か:既

 

『暗殺教室』読んだ。

 

懐かしい。直撃世代です。最近やたらショーツとかで流れてくるので読み返してみた。流し読みだが、ほぼ全巻読み直して楽しかった。家に全巻あるので読み返しやすい。

作者・松井優征のジャンプ連載作品はいずれも有名で『魔人探偵脳噛ネウロ』と『逃げ上手の若君』がある。ネウロは電人とかのとこまで、若君もまあどこまでかは忘れたがほどほどのところまでつまみ食いしてる。フルで全部読んでるのは暗殺教室だけだ。

どうやら現在映画がやってるらしい。だからしょっちゅう流れてくるのね。銀魂も今映画がやってるが、ジャンプ漫画のリバイバルが流行ってたりするのだろうか。個人的には序盤で脱落しちゃったリボーンとかどこまで読んだか覚えてないメダカボックスとかリバイバルしてくれたら読むきっかけになるので嬉しい。

アニメ版は当時見てたか覚えてないがショーツので見た感じ声優に違和感あるわ。これは演じてる人とかキャスティングが悪いんじゃなくて、漫画版読みすぎて自分の脳内で何かが出来上がってるからそことの距離感だと思う。浅野学長の声を藍染の人がやってた。『デアデビル』のソーズマンも同じ声だ。ガチで印象に残ってるとことかはどうしても違和感が出てきてしまう。他漫画で言うと『ゴールデンカムイ』のタイトル回収シーンもクオリティは高かったけど思ってたのとは違った。大塚芳忠=鶴見はまんまだが。

冷静に考えると暗殺教室、好きだけど印象に残ってるシーンとかはあんまないな。なんていうか、飾りたくなる1ページがないというか。全体的に並々と面白いし、終盤は割と手に汗握るしグイグイ読んでしまうが、好きで好きでたまらないってわけではないかも。ちなみにネウロはハルのパスワード解けるシーンがめちゃくちゃ好き。これからか?と思ったらもう次のページで解けてる感じが。

 

ネタバレあり

 

号令と共に教室を満たす銃声!椚ヶ丘中学校3年E組派生と全員が先生の命を狙う暗殺教室。教師と生徒、標的と暗殺者の異常な日常が始まるーーー!!(暗殺教室 1巻より)

 

先生は月を破壊した生命体、来年地球も壊す。その前に暗殺しなきゃならない!だけどそんな先生と仲良くなっていくという青春漫画。この漫画を読むたびにありえたかもしれない青春へのコンプレックスが俺を包み込んで支配する。なんだか俺もE組だった気がしてきたなあ。

主人公はE組の潮田渚くん。学園ものということでクラス全員のキャラがしっかりと構築されてる、ヒロアカとかワートリタイプの漫画だ。舞台の椚ヶ丘中学校は私立の進学校だが、主人公たちの所属するE組は落ちこぼれたちが集まるクラスになっている。校舎も本校舎から離れた山奥に設置されており、他のクラスから日常的に酷い扱いを受けている。暗殺というよりは本校舎とのバトルとかのいわゆる学園青春ものがメインプロットと言って差し支えない気がする。

暗殺対象はお馴染みの殺せんせー。殺せんせーはマッハ20で動く超生物。しかし、破壊行為が趣味の乱暴なやつではなく、その辺にいそうな優しい先生といった感じ。殺せんせーの教育のもと、落ちこぼれだったE組は成長していく。

 

手堅くまとまってる良作です。感想書くのがむずい。まあ例の如く、最後の方は不満とか書く気がするのでよかったところを書いていこう。

まずストーリー。ぐんぐん動いていくので楽しい。かなりボリューミーなのに全部でたったの21巻しかない。他には、たとえば、本校舎A組とのバトル(テストとか球技大会とか)ではE組のみんなが文字通り虚をつく方法で逆転勝利とかを収めていくのでワクワクする。E組の生徒全員のキャラが立ってるので日常回も楽しい。ガチでこんな青春送りたかったとひしひしと思わされる。

あとはねえ。なんだろ。どうしよう。

本当に、知らない人に勘違いして欲しくないのは、めちゃくちゃ面白いんですよ、暗殺教室。どれくらい面白いかというと、昨日読み返し始めてその日のうちに全部読んだ。そんくらいおもろい。殺せんせーとの絆、そして別れの感動とかも多々。まあとにかく綺麗ですね。あまりにも綺麗にまとまっている。そのせいで書くことがあんまりない。というか、綺麗さから滲み出てる何かについての不満を書くことになってしまい、ボロクソに言ってるみたいになってしまう。もう暗殺教室好きで好きでたまらない人はここから先読まないほうがいいです。マジ。そしてそんな人たちに伝えたいのは俺も暗殺教室大好きってことです。全巻集めてるくらいには好き。ただ、何かを好きになるってことはその何かの欠点をも見つめて好きになるということだ。俺にとってはそこを見てみぬふりすることはできないのでブログにひっそり書いておく。これが俺の暗殺教室への愛だ。

 

 

久しぶりに読み返して、ちょっとなあと思ったのは作品の倫理観だった。いや、倫理というのかはわからん。とにかくこの作品のあんま好きじゃないのは最後付近の殺せんせーのセリフなんすよね。「楽しんで理不尽と戦おう」というセリフ。まあいいセリフなんですがね。ニュアンス的にも「恨みつらみを言ってる暇があれば戦わんかい」というものに近い。まあそれには一理あると思う。でもその前に「殺せんせーはE組の制度は間違ってるから変えさせよう」とかは言わなかったという渚くんのモノローグが入ってる。これはどうなんと思っちゃったね。

E組は本校舎の生徒から差別待遇を受けていて、そもそもの勉強などへのやる気も無くしてしまい、落ちこぼれとして生きていくことを受け入れてしまっている。だが、殺せんせーはそんな中でも生徒たちの中に光ったものを見つけA組と戦う方法を授ける。そしてその方法は正面から戦うことではなくともいい。弱きものには弱きものなりにできることがあるというのがこの作品の良さですよね。

ただこの作品、完全に身もふたもないこと言っちゃうと都合がいい。たとえば、担任の殺せんせーはマッハ20でなんでもできる超生物だし、二人の副担任は容姿端麗、才能にもありふれてる。そして何より、冷静に考えたらE組のこの子ら、私立中学校の子供だわ。山奥は過酷な場所だが、それとは別に自然と触れ合える環境が揃っているということでもあった。つまり「ある」。「ない」ものたちの物語ではない。これが弱きものの話と言えるかに違和感はちょっと残る。つまり理不尽と戦う方法がある者たちの話だ。この漫画、実はこういう展開が多い。ピンチに陥ったが、こいつには実はこういう才能があるから解決的な。才能が本当にないやつの戦いとかはまあ『ワートリ』が見せてくれるからいいかとも思う。

別にここに正直問題があると思ってるわけではないけどね。つまりE組のみんなは落ちこぼれとしてのレッテルを受け入れることによってその才能を発揮することができていなかったということだ。その場こそがE組という制度なんだから、その構造を変えさせようとすることを否定するのはチョッチねと思う。結局本編ではこの後、椚ヶ丘は学長が変わり多分制度も変わったことだろう。この構造の問題を個人に還元させる考えはぶっちゃけ危険だと思う。

 

まあ殺せんせーの考えをうまく解釈すると、それ次第も個人がどう戦うかという論に収束させることはできるかもね。理不尽と戦うっていうのは自分の中でうまく納得する、まあ合理化だわな、ことによって成しうるのだと。うまいこと言語化できないな、悔しいが。

 

あともう一つは善悪二元論が根底にあるところ。敵の倒し方が大きく分けて二種で完膚なきまでに叩きのめすか殺せんせーに同化するかの二種。これは危険じゃないかな。敵もまた思想は違うものの同じく考えて存在しているという認識が不在。前者は可愛い中学生を殺そうとするゴミ・鷹岡とかに対する所業なんでいいけど、後者はちょっと危ういかなあ。例えば、浅野学長。学長はE組の制度を作った張本人なんだが、殺せんせーとの直接対決の末、敗れる。敗れるんだが、彼の考えとか思考とかはうやむやに。後々、私の理想は殺せんせーのやってることだったのかもしれませんねとか言いながらお菓子を二人で食べるシーンは好きではあるが、違うと思うよ。あんたのやってたことはあえて格下を作ることでの優生思想的指導だし、あんたの理想としているところは人それぞれが弱さと強さを持ち合わせていることをまなざす指導だ。この二つは違うわよ。

こういう作品倫理というか哲学?なのかな、をゴリゴリ深めていく作品の方がどうしても個人的には好きかなあ。例えば、『暗殺教室』で仕組み、制度の中で戦おうと現状追認している一方で作者・松井の先輩・荒木は『ジョジョランズ』で世の中のメカニズム=仕組みを問い直す作風を始めたりしている。やっぱ松井優征はエンタメの人なのかなというのが感想。そして本人も職人気質っぽいし。ターゲットスコープが特に本作の場合、作中主人公らと同年代の中学生に向けられてるので、そんなメカニズムがどうだとかあえてやらなかったんだろうなという感じはする。

この作品は2010年代の作品なのでこんなこと言うのは酷だが、今の世の中見てて、制度下で理不尽と戦おうってのは正直無理がある。世の中ってどんどん悪くなっていってるんだ。残念なことに。特に作中との違いは『暗殺教室』の登場人物って全員素直だね。作中で一瞬出てきた性根の悪そうな顔をしたマスコミとか一般市民には蓋がされたが、むしろ今の世の中に溢れてるのはそんな奴らだ。流石の殺せんせーも世の中の世評と戦う方法は教えてくれなかった。(じっと待ちましょう的なことは言ってた気がする。)

めっちゃネタバレするけど、『逃げ上手の若君』。足利尊氏が急にこっちに語りかけてくる展開はすごくよかった。めちゃくちゃいいこと言ってるんだけど、主人公に否定される存在である「敵」だからなあと言うのはある。この後、尊氏がどうなったかは読んでないので知らんが、やっぱ前述のことしかり、松井は考えてない人というよりはエンタメのために抑えてる人なんだろうな。多分。漏れ出たのが尊氏のセリフでしょう。

 

松井優征の漫画は全部面白いし大好きだが、漫画哲学する作品ではないね。やっぱ。でも好きですよ。E組が揃いも揃って全員美形なのが腹立ってきたな。こんな青春を送りたかったと思わされる漫画は読んだ後しばらく心がキュッとなるので毒を吐くことによって仲裁。蓋を開けたら苦言を呈したりしてしまったが、暗殺教室は俺の青春だ。青春ってこういうものだよな。その時はその時。今はまた別の捉え方をしたっていいんだ。自分の過去に思いを馳せてもいいけど、囚われすぎないことを自戒としていたりする。

 

追記:ファン度を証明するため、ってか別に証明でもなんでもないけど自慢したいもの出てきたので写真載っける。確かこれ、シゲキックスとコラボしてた時の懸賞で当てたやつな気がする。懸賞は子供の夢だね。まさに。

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