
タイトル:サウスパーク/シーズン27 シーズン28
監督:トレイ・パーカー
マット・ストーン
形態:アニメ
既か未か:未
『サウスパークS27 28』見た。
なんと!日本国内ではパラマウントプラスが2026年3月31日に撤退することが決まってしまい、サウスパークを見れる媒体がなくなりそうです。ワロタ。供養したいとこですが最近見始めた上に割とダラダラ見てしまったので感想もダラダラしたものになっていた。S27~28は一つのつなぎものとしての展開も多かったし楽しかったのでしっかりと記事として残します。なお、他シーズンは全然好きな回だけまとめる方式にする。言うて今シーズンも1話1話の側面はあるが都合のいいとこだけピックしていこう。
今シーズンはついにドナルド・トランプが出ます!というのも毎回大統領選をネタにして実在の大統領を出してるサウスパークですが、製作陣のトレイとマットは2016年の大統領選でトランプを戯画的に書くにはあまりにも現実離れしすぎてるとの意向から出さなかった。代わりにレギュラーキャラのギャリソン先生がトランプにそっくりの風貌でトランプとほぼ同じことを言うという力技に出ていたが(移民を犯して殺せとか言う)トランプの名称自体は出していなかった。大統領選をはじめとした現実風刺に力を入れすぎたことや単話ではなくつなぎものにしたこと、カートマンに彼女ができたことなどおそらくさまざまな要因でS20はいわゆる失敗に終わってしまった。ちなみに俺が初めて見たのはS21であんまり面白くなかった。面白いとこもあったが。
ところがトランプ出さない発言を撤回したのが今回。2024年以降もクリエイターたちは各々あらゆるメッセージを発し続けてきた。しかし大統領選ではまさかのトランプ大統領が再び誕生し、アメリカの今後を憂う結果となってしまった。こんな状況にトレイとマットも思うことがあったんだろう。だからこそのトランプ登場。そしてリベンジかのようにつなぎものとして作成する。現実に挑み続けることがクリエイターの誉だと思うし、特にトレイとマット製作のサウスパークは全方面右左問わずバカにしまくってきたある種、厭世感のある作風を貫き続けてきた。そんな中トランプを登場させる意味とは。
という謎の熱さが俺の中に生まれてきたのもわざわざブログ記事をまとめた理由だ。
ネタバレあり
コロラド州の小さな街、サウスパークの小学生、スタン、カイル、カートマン、ケニー(スタン、カートマンの声優がトレイ・パーカー、カイル、ケニーの声優がマット・ストーン)が騒動を起こしたり、騒動に巻き込まれるギャグアニメ。シーズン27では大統領にドナルド・トランプが就任。小学校のPC校長(ポリコレ校長)はパワークリスチャン校長(トレイ・パーカー)に改名し、スクールカウンセラーにはなんとイエス・キリスト(マット・ストーン)が就任する。この大きな潮流は主人公たちにも影響を与え、中でも差別主義者のカートマンは自身の敵であるウォークが衰えてきたことに気力を無くしてしまう。
1話冒頭、いつもの通りユダヤとゲイの泣き言を聞くためにラジオのチャンネルを回すカートマンだったが、番組は流れない。なんと大統領の司令により番組が打ち切られてしまったのだ。カートマンは差別主義者として学校に赴くもいつもと違い誰も彼に対抗しない。リベラル絶対主義のポリコレ校長ならと思いきや、ポリコレ校長はキリスト教を推し進めるパワークリスチャン校長に改名していた。そして学校にキリストがやってくる。
学校という場に特定宗教を押し付けることになってしまいかねないとのことから大統領の横暴性に怒り始める生徒の親たち。いくらなんでもやりすぎだとして大統領の家に押しかける。そして2016年期大統領のギャリソンの家に突入するもギャリソンはすでに政治の世界から離れたという。「じゃあホワイトハウスにいるバカは一体誰なんだ?」
でトランプ登場!このオープニングシークエンスかな?が楽しくて良かった。純粋に結構ワクワクした。結局全話通してこの1話が一番面白かったけど、それだけで持ってけるほどの強度があった。
「サウスパーク」内では実在の人物を扱うとき、アニメライズドした見た目で出すんだけど、かつてのフセインのように完全に実写写真を使っている。振る舞い等はほとんど現実の大統領と同じだが、本作の設定としてサタン(悪魔)と浮気しているというものがある。トランプとサタンの間にできたお腹の中の赤ちゃんが本シーズンのキーとなる。
シーズン27では第1話で山上の説教やった後、2話はチャーリー・カークとICE回、3話はテグリティ・ウィード回、4話はラブブ回、5話はガザ回と時事ネタの規模がでかい。2025年って色々あったんだなあ。
1話の話の続きに戻るが、カートマンはWoke is deadシャツを着て完全に世の中に絶望。厭世的になり自殺を目論む。一人ではなく、バターズを道連れに。一方でサウスパークの住人たちは大統領に抗議することを誓う。これを取り上げるメディアは全員大統領にビビっており、コロラドの連中は頭がイカれてる、大統領に反発してるが我々はそんなことないですよって媚び売ってる。そんな怒れるサウスパーク住人の元にイエス・キリストが現れる。聖書でお馴染みの山上の説教が行われると思いきや。「大統領は気に入らない相手を潰すためならなんでもやる。コルベアの二の舞になりたいのか?」と耳打ち。コルベアとはもちろん、トランプ批判で番組を打ち切られたスティーブン・コルベアのことだ。
態度を一転させるサウスパークの住人。大統領からの訴訟は300万ドルの支払いと大統領の支援動画を送ることによって取り下げられることに。「300万ドルなら学校と公共の予算を削ればなんとか払えるわね」。
1話は風刺がキレキレでかなり面白かった。ストレートに面白かったから逆にあんまりいうことはない。ホワイトハウスからは反発の公式声明が出たらしい。サウスパーク全体を通じるトランプ風刺は「無計画」「圧力」「粗チン」の三本柱だが、後半「粗チン」イジリが増えていくのに対して1話はギリギリとはいえバランスよくやってて良かった。餓鬼大将的な圧力と無計画が現実に迷惑かけてるんでね。
2話のICEとチャーリー・カーク回も結構面白かったです。でもチャーリー・カークがなくなってしまったので無邪気に楽しみづらいというのが実情。サウスパーク内でのカークのディベートは全盛期のひろゆきのように論点ずらしが酷かったが現実がどうだったのかはしらん。バターズがユダヤ人がなんの役にも立たないというならどうしてベーグルは美味しいの?って聞いてて可愛かった。ディベートシークエンスが一番楽しかったかな。ベーベも久々に見れたし。ICEサイドもユダヤ人も天国に言ってるはずだと聞いて天国まで捕まえにいくとことか面白かった。正直現実で起こってること考えたら無邪気に笑えんところではあるけどね。
3話はあんま覚えてない。ランディがついにテグリティ・ファームを手放したかって感じ。ファンの間では不評っぽかったもんね。しつこかったからかな。
4話はラブブとサタン回。ラブブを悪魔崇拝の道具として使ってるのはオリジナリティ薄い風刺だったね。でもサタンの存在とかかってるとこもあるか。3.4話はそれなりでした。トランプの取材陣に多様性が溢れてるといいながらFOXニュースしかいないのは笑った。
5話はガザ回。この話はシンプルに面白かった。主人公の一人、カイルはユダヤ人なんだが最近流行りの市場予測アプリ(何にでもかけれる賭博に近いのかな?)でカイルのママがガザ地区の病院を爆撃するか否かの賭けが始まる。現実問題そんなことするわけないが、それを理解してるカートマンたちはカイルを怒らせることによってもしかしたら爆撃するかも?と思わせオッズを上げる利益相反の方法で荒稼ぎしようとする。この賭けは街中に広がり、それを知らないのは当事者のカイルのママだけ。カイルのママはママ友からもガザ戦争についてどう思うか、行動するつもりか聞かれブチギレてしまう。するとオッズがどんどん上がっていく。そしてカイルのママはガザへと向かう。
やっちまった!大損が確定したカートマン。カイルはこの賭けが始まって以来、賭けの中止を運営に訴えるも常にたらい回しされる。カートマンも賭けを中止してもらうため、カイルと協力する。って話。カイルの弟、アイクも賭けてたのが良かった。まあこの裏で大統領がサタンを流産させようと奮闘するという軸もある。
シーズン27はこの5話。いつもは1シーズン10話がセオリーなんですが何故か28に引き継がれる形に。シーズン28ではピーター・ティール(実業家)やピート・ヘグセス(国防長官)が登場、ヴァンス(副大統領)が活躍する。

ピーター・ティールにはあんま詳しくないが実業家でアンチキリストの専門家らしい。アメリカの実業家って結構人文学を収めてる印象にある。にわか語りにはなるけどトランプ陣営ってあんま一枚岩じゃないよね。イーロンも飛んだし。権力者各人の利益がドロドロした感じで結集して形作ってるイメージはある。
1話では、アメリカの児童を中心に爆裂ブームを起こした6.7ミームの謎を解明しに学校にピーター・ティールがやってくる。6.7ミームについても詳しくは知らない。誰かがたとえば「今日6〜7時くらいに起きた」って言ったら周りの児童が手のひらを上下しながら6.7!っていうってただそれだけ。なんで流行ってんのかは知らん。ジャパニーズちょんまげ小僧みたいな感じなのかな。6.7話を避けるためにわざわざ1シーズン5話にした説もあるらしい。
ミームのせいで爆笑しすぎて死にかけてるカートマンをターゲットにティールは謎を解明しようとする。同時にその謎の解明によってサタンの子供=アンチキリストが誕生することを阻止しようとしてる。この辺のコンテクストは在米じゃないのでよくわかんなかった。
また、ラブブの件などで街に異変を感じるイエスキリスト。パワクリ校長に相談したところ、女性を紹介される。その女性はキリスト教支持者とはいうものの、言葉にしづらいんだけどtheっていう感じのやつだった。キリストは最初は拒むもののパワクリ校長とのやりとりもあり、ついに大統領側の考え方に変化してしまう。
2話はホワイトハウスに現れる亡霊の話。裏でスタンは家を無くしておじいちゃんの老人ホームに暮らすことになる。なんとかしたいスタン。「サウスパークは最近迷走してるよな?」このスタンのムーブメントに反応が集まり、ビジネス化するためにスタンは仮想通貨「サウスパークを救おうコイン」を作る。詐欺師のように早口でコインの注意事項を述べるシーンは楽しかった。
3話は生成AIソラ回。この話もシンプルに面白かった。トトロが登場して日本でもちょっと話題になったね。生成AIが作り物だとわからずトトロたちキャラクターを容疑者に据えるハリス刑事。最終的にティールが逮捕されて終わる。
4話はターキーレース。国防長官ピート・ヘグセスが仕事せずにJKみたいにコンテンツ作りばっかしてるという風刺。あんま仕事してないから弱いのかヘグセスも刑事に逮捕される。
5話は面白さは微妙だけど好きだった。
スタン回。スタンとサタンって似てるな。クリスマスにティールとヘグセス解放のため、ついにサウスパークへやってくる大統領とヴァンス。その一団にはキリストも加わり最強へ。一方、サタンの子供が産まれそうということもあり、過去回からアニマルフレンズが再登場する。
サタンはホワイトハウスのザーメンしごき用に捕まっていたタオリーからヴァンスと大統領の浮気を知る。何言ってるかわからんと思うがとにかく27〜28の諸要素を回収しながらラストへと向かっていく。
この27.28は多分明確に伝えたいことはあって、それは伝わってきた。それは、こんな世の中だし、混乱に満ちてるけど、その中でもできることはある。それができても酷い世の中が変わることはないけど、変わるかもって思って待つしかない。ってことだ。
今シーズンでは世のうねりに呑まれ続けるキャラクター達を描いている。サウスパークの住人は大統領の訴訟に怖気付き、女児達はラブブ目当てに暴れ、バターズはソラを使って復讐する。スタンも仮想通貨によって今の現状をよくしようとするが、もちろん、そのためには誰かを食い物にすることになる。いつものサウスパークだね。
でも最終話には一応希望を持たせてて、27だとラストはネタニヤフにカイルのママが説教しにいくところで終わってるし、28ではスタンの思いがキリストに通じ、キリストは考えを変える。スタンが最後、家に戻れたのはちょっと感動。
でもその一方でサタンの子供が生まれることはなく、大統領にとってもハッピーエンドとして終わることに。このビターな感じはS21のラストのギャリソンが野放しになって終わる感じにも通じてる。
結局、一個人にできることなんて本当に些細なことに過ぎないもの。でも、だからしなくていいわけじゃないし、してみたら上手くいくかもよ?な厭世的なだけじゃない終わりは心が動くものがあった。
だってサウスパークってもともと、諸方向に矢を放ちまくる、意地の悪い作品だし。監督で言えばランティモスとかアリ・アスター型だからね。でもこんなメチャクチャな世だけど頑張ろうぜっていうトレイとマットの声が伝わってきた。彼らもサブスク関連のゴタゴタでだいぶ疲れたんでしょう。
シーズン29はどうなるんでしょうね。果たして日本で見れるのか?という前提もありながら。今までみたいに単話形式に戻して欲しいが今シーズンには特別な意味があったっぽいのでそれは良かった。ワンチャン継続もありあるが現大統領政権が終われば、また単話形式に戻るんだろうね。ウェンディ活躍回が見たいので楽しみにしてます。