THE さめ 映画とか感想

映画好きです。

【感想】『HELP 復讐島』/抑圧からの解放の爽快感を予想してたが別にそんなことはない。

タイトル:HELP 復讐島

  監督:サム・ライミ

  形態:映画

既か未か:未

 

 

『HELP 復讐島』みた。

 

スプラッターとかアメコミ映画でお馴染みサムライミ。『死霊のはらわた』はまだ見てません。先日先輩がこれと勘違いして『悪魔のいけにえ』誘ってきた。そっちももしかしたら感想書くかも。

フィルモグラフィー内の他のものだと流石に『スパイダーマン』トリロジーは見てます。青春。あと『ダークマン』も見ました。個人的にはオールタイム・ベスト・オブ・テンにも入れてる『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』が一番好き。くろちょぼの多さたるや。

ドクター・ストレンジ MoM』で仲良くなったのか知らんがレイチェル・マクアダムス主演の本作。まあ楽しかったけど好みではなかったかな。好きな人はごめんなさい。というか今作は批評サイトとかでも数値がすごいらしいのでこんなブログに関係なく見れば楽しめるだろう。まあかく云う私自身もすごい楽しんだので。

 

日本だと宣伝にやすこが使われてました。最近荒れ気味。俺自身としてはなんとも思わないんだが「おもんない」と云う批判に対して「いやおもろいだろ!」とはいえないっすね。実際、フワちゃん炎上のタイミングで当時の友達がフワはおもんないから消えてくれて嬉しい、やすこも消えて欲しい。みたいなこと言っててなにいえばいいかわからなかった。彼は色々と過激だったーー。思い出に浸ってしまったが今作の内容とは全く関係ない。ただ何が言いたいかというと、お笑い芸人が洋画宣伝してるのを久々に目に入れたので書いてみただけです。俺の気づかないところでは色々やってたんだろうが、やすこのCMはそれ以上に結構よく見る。やすこには挫けず頑張ってほしい、、。と思うとともにやすこCM見てこの映画見に行った人はどんな感想を抱いたのだろうとすごく気になる。

 

ネタバレあり

 

会社員のリンダ(レイチェル・マクアダムスはいつか自分が報われる日が来ると前向きに働いていたが一向に自分の番が来ない日々に鬱屈とした思いを抱いていた。そんな中、自社の社長が急逝、息子のブラッドリー(ディラン・オブライエンが社長となる。元社長との間でブラッドリーが社長になった暁にはリンダは副社長になれると約束されていたのだ。そんな思いはブラッドリーによって踏み躙られ、さらに酷い処遇を受けるリンダ。そんな中、出張のために乗り込んだ飛行機が墜落、誰もいない無人島で生き残ったのはリンダとブラッドリーだけだった。

 

まず宣伝でパワハラ上司と二人無人島へ、リンダの逞しい復讐が始まると銘打たれているがおおよその人の想像とは若干違う展開が繰り広げられる。と云うのも二人とも結構サイコパスだからだ。こういう系の映画はリンダに感情移入できるように作られていると思うのだが、リンダもリンダで会社にいるときは若干ダメなやつ感がただよっている。身だしなみのだらしなさや会話の歩調を掴めてない感じとかね。平たくいうとインキャかな。もちろん、だからといってブラッドリーとその周囲がやることも最低だけどね。まあ序盤というより、物語が進むにつれ彼女ら彼らのパスみは増えてくるのでこの辺は大した話でもない。

 

というわけで無人島に飛行機墜落、二人の野生生活が始まる。この辺までも普通の映画。『マダガスカル』とかも思い出した。謎にサバイブ能力が高いリンダと助けてもらってるくせに高慢なブラッドリー。そしてリンダが呆れて離れるとリンダに縋り出すブラッドリー。サム・ライミの手腕だろうがなんとなく想像できる展開とはいえサクサク進むし見てて楽しいシーンとかギャグ多めで鑑賞しやすい。まあリンダのサバイブ能力とかは流石に都合いいなと思ってしまうことはありつつも、猪狩るとこが楽しかったり、愚かなブラッドリーだったりでどこを楽しんでどこに目を瞑るべきかがわかりやすい。映画ってのはそんなもんだ。隙があるから悪いのではなく、隙を好きが上回ってなかったり(駄洒落)、どこに着目すれば良いのかわからなかったりするのがダメなのである。呪術のアニメも演出当ててれば、もしくは外しちゃいけないシーン抑えてればこんなに荒れることもなかっただろう。

 

物語の雲行きが若干怪しくなるのは救助船をリンダが見逃したあたり。リンダは島で完全にブラッドリーとの上下を策定させたかったのだろう、まだブラッドリーがリンダに恩を感じていない今はまだ救助が来ちゃダメなのだ。だから見逃す。なんだか嫌な匂いがしてきた。この辺で序盤でリンダに感じてた違和感は意図的なものだったのねと気づける。つまりあえて若干変なやつとして書いていたのだ。普通に偏見だが『スパイダーマン』のピーターとかみたいにサム・ライミ目線、インキャこそ一般人、何も悪くない!っていう世間とのズレがあるのかとか思ってた。序盤は。

そんなこと知る由もないブラッドリー。もう一個、リンダに違和感を感じるのは元夫の話をした時。リンダは実は夫と死別していた。へえ。どうやら夫はクソ野郎でアル中だったらしい。そんな夫でもいつか優しくなってくれると信じていたリンダ。だが結局、喧嘩した日にDrunk状態の夫に車のキーを投げつけ事故死という結果を引き起こしてしまう。このシーン、リンダの後悔のカミングアウトなのかと思ったがbgmがどうも不気味すぎる。セオリーならこの直前に親からのスポイルの話をしていたブラッドリーとわかりあって距離がつまるはずだ。なのにこの雰囲気。夜とはいえ暗すぎる。もしやリンダは事故以前に夫を殺したんちゃうかという疑惑を持ったまま我々は画面を見守る。

 

そんな予感の通りか否か二人の距離が縮まったっぽいシーンとブラッドリーが裏切りまくるシーンがほぼ入れ替わり立ち替わり続く。まあ普段歪みあってる二人は限界状態にあっても決して協力できないというのね。というかリンダは明らかに無人島に止まりたがっている。それはこの地なら自分はなんでもできる、社会的に強者になれるからだ。まあやっぱりというか、実は有能なはずのリンダがミソジニー的に抑圧されていてそれを解き放つという話ではない気がする。フェミニズム的な話ではないっぽい。なぜならリンダは会社、人間世界では強い存在になれないからだ。コミュ力が薄いからね。これは愚かしいものだけど、人間社会が協業によって成り立っている以上、他者との関係を維持するというのは立派な能力であって、それは男女間の抑圧のように単純否定が可能なものではないからだ。(別に必ずしも良いものとは思ってないけど。)何度のいうようだが実際にリンダは酷い扱いを受けているし、それが当然のことだと言いたいわけじゃない。ただ、リンダvsブラッドリーが完全善悪でかけるものでもないよねということだ。

 

そして決定的な一線を越えるリンダ。助けに来たブラッドリーのフィアンセを直接ではないといえ殺してしまう。全然関係ない話だがこのフィアンセの顔が綺麗すぎる。ニュアンスなので伝わるかわからないが100点になるように作った顔というか。作り物っぽいだと悪口になりそうなのでやめておく。何が言いたいかというと例えばJapanでの美女といえば橋本環奈とか、俺は福原遥が好きなんだが、そういう美人って、(日米比較じゃないので誰か別の人を思い浮かべてくれ、マーガレット・クアリーとかでいいよ)どこか人間的な綺麗さがあると思ってます。具体的にはこの世に存在しそうというか、むずいな。ただなんか異様に造形が綺麗だと思った。今までの人生ではクリステン・リッターにも同じことを思った。この外見論は不快に感じた方がいたら本当に申し訳ないです。ただ貶してるわけじゃないので許してください。

 

なんの話だっけ。まあとにかく、フィアンセ殺害がブラッドリーにバレてしまう。というわけでここからはバトル。もう芽生えていた何か(Something there)は消えた。ああこれがやりたかったのねと思える展開。いわゆるサム・ライミ節が解放されたかの如く(イノシシのシーンで漏れてたが)一瞬で画面が血まみれになり、ワンダみたいな風貌になるリンダ。逃げ続けたブラッドリーが見つけたのは豪邸笑。実はリンダはここから包丁を得ていたのだ!(包丁を流れ着いたものと言って使っていた)こうなりゃもう実はリンダはいいやつ的な展開はできない。し、ブラッドリーももちろんクソ野郎なのでどちらか、もしくは二人とも死ぬのは確定した。

ブラッドリーにショットガンを構えるリンダ。命乞いをするブラッドリー。「いつまでも二人で無人島で暮らそう。」ほんの10分前と文明レベルがダンチ。リンダがいつぶっ放すかドキドキしてたが、意外にもブラッドリーの命乞いを受けようとしたっぽいのかな?でももちろんブラッドリーは油断させてリンダを殺す気だ。ショットガンを奪われるも実は空砲。終わったね。

ラストは無事都会に戻り、社長にもなれたリンダが「誰も助けてくれないわよ〜。自分の身は自分で守らなきゃね」とか言って終わる。

ショットガンが空砲だったということはリンダはあんなにメチャクチャのバトルをした後でもブラッドリーとなんとかやってけると思っていたのだろうか。まあ奪われた時普通にビビっていた気がするので空砲だったことに気づいていなかっただけの可能性もある。

 

というわけで個人的な感触としては解放映画というよりはむしろサイコみをまざまざと見せつけられた印象。まあこれはどっちなんだろう。このサイコみなのか、ガチでリンダに共感すべきなのか。監督が若い子、脱サラとかなら嫌な上司への復讐妄想という見方なんだが、なにぶんおじいちゃん、サム・ライミなのでね、、。自分がアホなのを棚上げしてるように聞こえるかもしれないが、「どう、これ、男女が殺し合って血がいっぱい出ておもろいでっしゃろ」くらいの感覚で作られてる可能性も高い。実際それに則れば結構楽しんだわけで。

まあただ、モヤモヤするのも事実。モヤモヤしてる人も多いっぽいし。その話で言えば監督前作の『ドクター・ストレンジ MoM』もモヤモヤしてる人は多かったし、流石におじいちゃん、今の時代はちょっと違うのよ、、、。という感じもしなくもない。久々に祖父母の家に帰宅したらぶったまげるくらいの差別用語吐いてたり容姿いじりしてたりして驚くアレに近いかも。別に笑っちゃうんだけど若干のモヤモヤ。まあただ、ラストカット等考えるとそこまで考えた上でのっていう映画な気もする。監督のインタビューとか読めば解決するだろう。

 

そんなわけで主人公が善人じゃないのは結構物語に引き寄せられてよかったです。どうなるんだろ、、という牽引力があった。映画好きの皆さんならわかると思うんですが、映画見る時って大体こんな展開になって、ラストはこんな感じかなみたいなのを頭に薄ら浮かべながら見るんですけど、まあそれが予想にハマっててよかったり、陳腐に感じたり、想像を上回るのが楽しかったりとかと。じゃあそういう意味で言えば今作は割と予想つきづらかったですね。リンダの為人が巧妙にわかりづらくされてて、それがラストのカタルシスにつながっていたのかも(それっぽい言葉)。実際、リンダがいじめられて涙ポロリのシーンでは悲しい気持ちになったもの。

後悪趣味お下劣ギャグはキレキレで楽しかった。後ろに座ってたおじいちゃんが笑ってたのもいい味出してた。おじいちゃんはうるさすぎない笑い方、具体的には漏れ出ちゃってる感じだった。皆さんも特に汚いシーンが苦手な方は見る時は後ろにおじいちゃんがいる席で見ることをお勧めする。我々素人は雰囲気だけで笑うことができるからだ。

 

原題のSend Helpはじゃあ、リンダの言葉からブラッドリーのものへとグラデーションしていって二人のものへ共有されて終わったわけだ。まあそう考えると構造的にも綺麗な映画だったし、後何より見やすい。わざわざブログには書かなかったが、モチーフとか台詞の応酬とか、流石に往年の監督なだけあって本当にするする見れる。

 

ちょっと話戻るけど、サム・ライミはこういうスレスレの話書きたいんでしょうな。『ダークマン』しか例示にあげられない分際だが、ダークマンもこれで終わりでいいの?的な感情になった覚えがあるし。だから根が露悪よりというか。でもヒーロー撮ってる時は子供の頃の理想、ワクワクを全面に書くんだろう。だからスパイダーマンもストレンジも主人公の味付けは完璧だったわけで。だからカラッとしたヒーローもんとって欲しいですわ。なんかその辺の意味ではジェームズ・ガンに似てるかもね。『スーパー!』とか、わざわざ言わんでもわかると思う。発散の方向が違くて、ガンはヤンキー的な湿っぽい感じに対してライミは愛とエゴとかに落ち着くんだろうか、そこはドクスト3を撮ってくれた暁に考えればいい。というかここまで監督と作品を結びつけなくたっていいしね。俺は馬鹿だから指標を求めてるだけなのかもしれない。