THE さめ 映画とか感想

映画好きです。

【感想】『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』/破滅が約束されてる系映画の中でも一番好き。というかPTAが好きなのかもしれない。

 

 


タイトル:ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

  監督:ポール・トーマス・アンダーソン

  形態:映画

既か未か:未

 

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』見た。

ポール・トーマス・アンダーソン作。恥ずかしながらPTA監督のことは先日『ワン・バトル・アフター・アナザー』で初知。『ワン・バトル』はほんと、最高でした。人生のオール・タイム・ベスト入るくらい。だからまずは『マグノリア』見ました。ジョジョ6部の元ネタシーンがあるくらいの情報しかなかったけどシンプルに良かったです。でもまあカエルの使い方が必然というよりね。偶然の奇妙さみたいな映画ではあるけどそれにしてもサプライズ・ニンジャ感が強いと感じた。でも今作にも繋がるけどなんでもないシーンでも興味持ってグイグイ見れるのはすごいとこだと思う。なんでだろう。自分の中に『ワン・バトル』からついたPTA=面白いの方程式がそうさせているだけなのかもしれない。でも楽しむことはいいことなのであんま気にせずに行きましょう。

 

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は事前情報ほぼゼロで見た。めちゃ面白かった。まずタイトルがかっこいいよね。おしゃれ意訳したら『血だけが残る』みたいな感じか。厨二くさいな。まあ色々隠喩的なものもあり、見た後ググったりもしたんですがそーいうの抜きにしても面白い作品に変わりはないのでおすすめです。まあストレートなやつを見たければ『ワン・バトル』の方をどうぞ。

 

ネタバレあり

 

20世紀初頭のカリフォルニア。夢を追い鉱山を採掘するダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス。息子のH・W(ディロン・フレイジャーと共同経営で石油を追い求めていた。そんな折、ある青年から故郷に石油が眠っているとの情報を得る。現地人を言いくるめ安価で土地を買い占めたダニエル。しかし、一筋縄ではいかなかったのが町の牧師イーライ・サンデー(ポール・ダノ。石油を見事掘り当てて繁栄を町にもたらすダニエル。しかし、採掘地の近くの大爆発によって息子H・Wの耳が聞こえなくなる。

 

主人公ダニエル。まだまだ幼い息子H・Wと一攫千金を狙って採掘を行っている。遠い世界すぎて石油採掘のドリーム感がよくわからん。でも俺が子供の頃は金持ちの代名詞は石油王だったし将来の夢も石油王だった。だから相当すごいことなんだろう。石油を掘り当てるっていうのは。(倒置法)

 

ある青年から自分の故郷で石油が取れるという話を聞く。そして西部のリトル・ボストンへ向かう。現地の土地を安価で買い取るも唯一石油が取れると知っていた牧師、イーライ・サンデーから教会への寄付の約束を取り付けられる。イーライとある青年は双子でどちらもポール・ダノが演じている。初めてイーライを見た時のダニエルとH・Wの顔が良かった。双子を久しく見ていない人生だわ。中学くらいまでなら双子は公立中の場合同じ中学行くから目撃するけどそれ以降は見ることがあんまりないね。人生によるか。双子が近くにいる人生。楽しそう。でも双子側はどうなんだろう。アイデンティティ・クライシスになったりしないんだろうか。今作で青年とイーライが全然別の地にいたのはそれから逃れるためだったりしてね。こじつけこじつけ。

 

石油採掘前のグランド・オープンみたいな式典。イーライに安全を祈るために挨拶をさせてほしいといわれ、表面では快諾するも当日ガン無視で進めるダニエル。当てつけかのようにダニエルと暮らしてる少女に挨拶させ採掘場の名前も少女の名前に因む。このシーン、イーライが全然悔しそうにしたり、おかしいことが起きたぞって顔をしないからイーライの挨拶はもう終わったのかなという正常性バイアスにかかりそうになった。後から感想見て確かに挨拶してねえわと気づいた。

採掘が続く日々、ふとイーライの教会に立ち寄るダニエル。中で行われている洗礼は迫力がすごかった。やけに芝居が勝った大声のイーライ。あんま見てる最中は実感してなかったがアメリカ的拝金主義的宗教の皮肉説があるらしい。まあ確かに慎み深さとはほぼ対極にある。最近見た『ナイブズ・アウト3』の宗教観に近い。ちょっと宗教史詳しくないけど今後映画見続けるためにも学びたいなと思わさせられた。

 

 

そんなこんなあり、式典でイーライに挨拶させなかったせいかダニエルの採掘には影が差し始める。具体的には採掘場で事故が起きて従業員が亡くなったり、大爆発が起きてH・Wの耳が聞こえなくなったりする。耳が聞こえないH・Wを保護した後すぐほっぽり出して爆発の後処理に移るダニエル。行かないでと必死なH・W。可哀想なH・W。金の亡者みたいな大人にたかられてね。ゆたぼんみたいなイメージだ。彼は一体どこに行くのだろう。

耳が聞こえなくなったH・W。それと近しいタイミングで現れるのはダニエルの弟を名乗る男ヘンリー。ダニエルはヘンリーに仕事を与え始めるとこれを見たH・Wは家に火を放ちヘンリーを殺そうとする。結局H・Wはダニエルの元を離される。可哀想に。

しかし、実はヘンリーは本当は実の弟ではなく、なりすましだった。実の弟はすでに死んでおり、その男は弟の知り合い、弟の手記を見てなりすましていたのだ。これを知ったダニエルは男を撃ち殺す。H・Wを見捨てた瞬間、引き金を引いた瞬間。だんだん血だけが残りそうな展開になってきました〜。こういう成功→失敗→どん底→破滅映画はここで後戻りできたじゃんねっていう瞬間を覚えておくとより破滅が際立っていい。このブログで言えばエディントンとか。最近『ナイトメア・アリー』を見たけどこれも近い。まあ他にもいっぱいある。当たり前だけど。

 

 

石油を運ぶためにパイプを敷きたいダニエル。しかし、土地の一角を持つ親父さんが出した交換条件はイーライの洗礼に出ることだった。親父さんはダニエルがヘンリーを殺したことも知っており、渋々洗礼を受けるダニエル。みんなの前で実の息子を捨てたと言わされる。

ダニエル「俺は実の息子を捨てた」

イーライ「もっと本心から!」

ダニエル「俺はぁ〜実の息子を〜捨てたぁ!」

吹き替えで見た。吹き替えは壤晴彦。ライオンキングでスカーやってる人。いいシーン。

 

ヘンリーも殺したことだし戻ってきたH・W。捨てたくせに都合よく愛していたを連呼するダニエル。もちろんそれが聞こえていないH・W。怒りでダニエルを殴ったり蹴りまくる。楽しいシーン。刃牙vs勇次郎を思い出した。

H・Wと飯を食いにレストランへ来たダニエル。そこに現れたのは端折ったシーンで石油が見つかった後のダニエルから土地を買い取って美味い汁を吸おうとしたビジネスマンだ。大声で威嚇。先に向こうに飲み物が運ばれるとキレる。PTA作のすごいところはこんななんでもないところがめちゃくちゃ面白いところだ。

 

時は飛んでH・Wももう大人。採掘場の名前をつけた少女と結婚する。そして父に独立の申し出。ダニエルはめちゃ豪華な家に住んで巨万の富を手に入れていた。独立を申し出るH・Wにブチギレ。ダニエルは終始怒りすぎだ。その流れでH・Wは孤児で血のつながりがないことを明かす。また、交渉に有利だから子供を連れていたという。怒ったH・W。出ていく。

 

今気づいたけどネタバレサイト並みに端的に流れを書いてしまっている。まだまだブログにはなれんわ。でも考えてみてほしい。内容逐一書かないと後から見返した時何言ってるかわからんし、まあそんな人100いないが映画見てなくてこのブログ読む人が大変だろう。一応言っておくがこんなとこ読むより前に見たほうがいいぞ。面白いから。でこのブログは見終わった後の反復に使ってくれれば嬉しい。俺もそんな感じで人のブログ読んだり宇多丸のラジオ聞いたりするから。

なぜこんなことを書いたかというともうすぐ終わるから。H・Wが出ていった後自宅のボーリング場で眠りに落ちるダニエル。そこへやってきたのは巡礼の旅から戻ったイーライだった。イーライは金の苦心に来たらしい。自分の経済状況に関して神が受難を与えたとかいうイーライ。そんなイーライにかつて自分がさせられたようにするダニエル。「私は偽預言者ですと言え〜」。その後イーライをボーリングのピンで殴り殺すダニエル。駆けつけたウェイターに一言。「終わったよ」。ジャーン。『There will be bload』。終わり。悔しいがガチで文字列だと伝わんねえ。実際に見た人はみんなそうだと思うけど、このラストはマジで痺れる。まさしく血だけが残る終わり。こっからなんかいうのも無粋にも無粋なんだけど感想ブログだからなんか言っとこう。

 

 

 

初見時(というか一回しか見てないので他人の感想読む前ということで)思ったことはやっぱ資本主義的愚かさね。ダニエルは金持ちになることを望んでるけど本当に欲しかったのは家族。でもH・Wもヘンリーも手に入れることができなかった。なんならイーライだって憎み合いながらも本当の敵ではなかったはずだ。この金持ちになるという目標って一体なんの価値があるんだろうか。割とガチで理解し難い。もちろんいっぱいお金を使える人生ではありたいよね。俺だって欲しいフィギュア好きなだけ買いたいし好きなだけ旅行行きたい。でも限度ってそこまでなんよね。なんていうか使いきれないほどの金はいらんのですよ。これはみんなもそうだと思う。限度以上の金って一体欲しいか?自宅にボーリング場、いる?まあ100歩譲ってそれは欲しいとしてもね。っていう金を集めること自体が目的になる感じがよくわからんのよね。

という金持ちになるという夢への空虚さよ。DIO的アンサーを出すなら安心を求めているからなんだろうってことだが。まあ確かに金があればあるほど安心の感覚はわかるけどね。まあ平坦な感じがせんでもない。結局ダニエルは欲しいものは手に入れられなかったわけだ。

他人の感想読んで知ったのは拝金主義的宗教の愚かさも描いてるところ。まあ前述した通りだ。でもこの映画は一義的には描いていないところだろう。純粋に汚い愚かなものとしてではない。ダニエルにもイーライにも単なるやなやつとか変なやつ以上の重層的な魅力がある。ダニエルがH・Wを愛してたのは本当っぽいし、イーライもまた、ダニエルとうまくやってけたのではないかって感じがある。やり手の牧師みたいな感じだったし。

 

これ系の許されざる主人公が最後どん底に落ちることで初めて許される系映画、大好きです。広く範囲をくくると終活映画も含まれるのかもしれない。『ローガン』とか。いやちょっと違うか。そういう意味では『国宝』は嫌いだったな。急にナイフを飛ばしてすまない。『ナイトクローラー』は?なんかいけたな。ってか好きだった。純粋に映画的スコープの写し方なのかもしれない。国宝は完全に許されてる感じになってたもんね。だから『ナイトメア・アリー』の感想書くか迷うな。でも多分同じことの繰り返しになってしまいそう。ならばより好きだったこっちだけでいいのかも。

 

今回はめざしている駄文ダラダラ系ブログを書くことに成功した気がする。俺の人生も最後は血だけが残る感じでおなしゃす。