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【感想】『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』/真実と信仰の重さについて考えさせられた。

タイトル:ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン

  監督:ライアン・ジョンソン

  形態:映画(ネットフリックス)

既か未か:未

 

『ナイブズ・アウト:ウェイク・アップ・デッドマン』見た。

ナイブズ・アウトと出会ったのは確か007見終わった後だった気がする。ダニエル・クレイグかっけーって思って出演作品探してるうちにたどり着いた。当時、映画にあまり詳しくなかった俺にとって(今でも別に詳しいとは思ってない。)クリエヴァが出てるのにもすごい安心感を抱いた。そして同じく007からアナデ・アルマスも出てる。こりゃもう見るしかないでしょうという感じ。まあ当たり前のように面白かった。けどちょっと軽くない?と思った覚えもある。ミステリーって重厚というか、まさしくケネス・ブラナーポアロみたいな雰囲気のイメージ。一方こっちはゲロ出たりとか定番のぶっ壊し演出しかりキングスマン的なノリノリ感があるよね。同監督作のドラマ『ポーカー・フェイス』とかも見て、これが持ち味なんだと感じれた。そしてこっちの方が見やすいから好きかな。

『グラス・オニオン』の方は年越し映画としてみた。特に一時的に映画断ちする前の最後の一本にしたから思い出に残ってる。もちろん面白かった。監督ライアン・ジョンソンで後見てるやつは『スター・ウォーズEP8』だけどとりあえず置いておこう。一応言っておくと別に嫌いじゃない。

そして本作『ウェイク・アップ・デッドマン』。それなりの愛着があるとはいえ、映画館で見れるシリーズでもないしそこそこの感じで見た。かなり楽しめました。なんか見る前に思ったことは少ない。ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)の見た目が変わってるなって思ったくらいかな。こっちの方が好き。今までのだとジェームズ・ボンドがちょっとかおるから。まあ性格は全然違うし見てるうちにのめり込んでいけるけども。

 

ネタバレあり

 

<あらすじ>

元ボクサーで対戦相手を殴り殺してしまい、その赦しを求め信仰の道へ進んだ司祭、ジャド(ジョシュ・オコナー)。彼の新しい勤務地では司祭ウィックス(ジョシュ・ブローリンが横暴に振る舞っていた。そのため、信者の数は少ないながらも残った少数の信者は強い信仰心を持っていたりした。この教会ではウィックスに加え、ウィックスの祖父の代から教会に通っていた敬虔なクリスチャン、マーサ(グレン・クローズが経営していた。ウィックスのターゲットを一人決め罵倒するメサに対して実直なジャドは反抗心を見せ始める。そんな折、メサの最中、何者かによってウィックスが殺される。もちろん反抗心を見せぶつかっていたジャドは容疑者として扱われるもそこに現れたのは名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグだった。ブノワはジャドが犯人でないと見抜き、助手に迎え捜査を始める。

 

ミステリーは内容書くの大変だから書かない。もし万が一このブログを見てる人がいれば普通に映画見てから読んでほしい。最悪の場合、ネタバレサイトでもいい。それかもしくは頑張ってついてきてほしい。

というかライアン・ジョンソンシリーズのミステリはもちろんトリックもしっかりしてるけどキャラへの愛情に満ちてるなと思う。ここには書いてないが、狂信者?とも言える容疑者全員一人一人がしっかりキャラ立ちしてる。そして絶妙に感情移入しづらいから別に誰が犯人でも落ち込まない。この全員腹に一物抱えてる感もライアンの特色か?いや普通にミステリーがそういう作風なのか。これをあんまり比べるのは良くないと思いつつも、コナンと比べると犯人であったり容疑者への愛情があるということにも説得力が出るだろう。ポーカー・フェイスもそうだった。毎回のキャラを好きになってしまう感じ。別にもっかいでてきてほしいとかは思わないけど。一回きりだからこその輝きをうまく出せてると思う。

 

まあそんなわけでいきなりネタバレするとこの事件の犯人はマーサ。というか複雑に絡み合ってて書くのめんどくさいから一概にはいえないけど。マーサはウィックスの祖父プレンティスに憧れていた。そして遺産目当てで家に帰ってきたプレンティスの娘、グレイスを蔑んでいた。これはプレンティスも同じで、プレンティスは遺産を宝石に換金し、グレイスに渡せないよう衝撃の場所に隠す。それは自身の胃の中であった。死に際、その事実をマーサだけに教え、マーサは約60年間その秘密を抱え続ける。宝石はプレンティスの遺体とともに外からは取り出せない墓地の中へ。しかし、ジャドの助言もあって、その事実を懺悔したところ、懺悔の相手はウィックスだった。ウィックスに宝石を取られぬよう、殺したというのが主な事実。宝石=財産はプレンティスにとってイヴの手にしたリンゴであり、その教えはマーサに引き継がれた。りんごが罪深き存在の手に渡らぬように、、。

この事実に辿り着いたブノワ探偵物あるあるの全員集めての謎解きを途中でやめてしまう。急に解決できなくなったとか言って。ここがすごく良かった。最初は合理性を重視し、神なんてと言っていたブノワがジャドと触れ合ううちに神そのものではないが赦しというものに気づいたんでしょう。

 

この真実を伝えることが必ずしも正しいことなのかという問いは多分本作のメインテーマ。そして赦しをこうたマーサはジャドに懺悔を行い、最期には蔑んでいたグレイスへの憎しみから解放される。人は誰しも原罪を抱えているもんだ。思えばジャドが人を殺したことある設定いるかと思っていたが、それがジャドの原罪なんだね。

真実と感情のこの問いは人生一生の命題だ。ジャドのお酒隠し(詳しくは本編を見てくれ)をブノワは激しく詰める。なぜ最初から言わなかったと。しかし、ジャドはサム(教会の庭師、禁酒中)のために酒を隠した。そして神を作りあげたと言える。この行為はマーサのしたことと規模感は違うとはいえ本質は変わらないんじゃないかなと思う。二人とも赦しを求めて赦してくれる神を作ったのだ。それでいえば、マーサは教会のために、つまり神のために神を作ったのに対して、ジャドは人のために神を作ったという違いはあるのかな。結局、マーサが作ってた神はマーサを縛り上げるものだったし、だからジャドが赦しを与えることができたのだろう。

神がいるから信仰するのか、または信仰こそが神を作り上げるのか。フリーレンでハイターが「神はいないと思うけどいた方が都合が良い。いた方がいいよね。」的なことを言っててこれは答えの一つなんだろう。

 

全く言語化がうまくいってないことは自覚してる。だけどマーサが最期の赦されるシーンは、それは同時にグレイスが赦されるシーンでもあって、ものすごいエモさを感じた。老婆が本当に少女に見えて、その抱え続けた信仰に苦しくなっちゃった。あんまり上手く書けなかったけど結構色々なこと感じてる。まあこれが今の俺の能力の限界だ。今後見返した時に頑張って追記しよう。

 

なんか一応これが最終作っぽいらしいけど、ブノワ自体の魅力もすごいので願わくばこのシリーズの続きを見たいかな。このシリーズのブノワが謎解決し終わった後、その後の顛末を「私は関係ないですよ」みたいな顔で見届ける展開すごくいい。今回もあの表情はすごく良かった。

真実を話すことが必ずしも正しいことなのかって話で言えば、オリエント急行殺人事件にも繋がるとこあるよね。その葛藤をいきなり1作目からさせたケネス・ブラナー版はなんやねんって感じもする。