THE さめ 映画とか感想

映画好きです。

【感想】『ブゴニア』/独りよがりの人たちが独りよがりのロジックを展開。自分が正しいと思ってる俺やあなたのことです。

タイトル:ブゴニア

  監督:ヨルゴス・ランティモス

  形態:映画

既か未か:未

 

『ブゴニア』みた。

 

ヨルゴス・ランティモス監督最新作。なんか最近、年一ペースで撮ってるな。

本作は韓国の映画『地球を守れ!』という作品が原作らしく、『エディントンへようこそ』等のアリ・アスターが製作としてリメイクしたがってたらしい。元作の監督、チャン・ジュナンは体調面等の問題でチェンジとなり、白羽の矢が立ったのがヨルゴス・ランティモス。ランティモスとアリ・アスターの共闘とかいう家系ラーメンに家系ラーメンを混ぜたかのような濃さ。そして家系ラーメンに家系ラーメンを混ぜたらそれは家系ラーメンでしかないのよ。お互いおんなじ方向を向いてるので特に相互作用でミラクルが起こってるとか思わずに普通にランティモスの映画として見た。

 

ランティモス監督作、結構見漁った(7作とか?)んですが、総括的に気づいたのは絵(場面となる場所の多さ的なこと)や展開の動きが薄いなと思いました。もちろん、ぶっ飛んだ設定があるのでそんなに問題じゃないんですが、どうしても間延びしてるなってとこがあって、(監督は狙ってやってると思う。)40分のオムニバス3発の『憐れみの三章』が個人的には一番良かった。なんだか毎回、最後のもう一展開があって映画的には絶対必要なんだけど、その頃には疲れてて、「まだやんの?」って思ってしまうとこがある。『哀れなるものたち』なら将軍の展開とか、例は一つしかあげられなかったがそんな感じだ。

 

本作、ブゴニアはネタバレなしで見たかったけど、正直、ラストがどうのみたいなのは風の噂で聞いてたので見る前に若干、筋道を立ててしまってたところはあった。でも面白かったので良かったです。

 

 

ネタバレあり

 

 

養蜂家テディ(ジェシー・プレモンス)は共に暮らしてるドン(エイダン・デルビス)に蜂が減少している真の原因を見つけたと語る。原因はアンドロメダ星という惑星からやってきた宇宙人が人類を滅ぼそうとしているからだ。人間に化けている宇宙人は、現在カリスマ経営者として脚光をあびるミシェル(エマ・ストーン)だ。2人はミシェルを誘拐し、地下室に閉じ込める。ミシェルが宇宙人だと信じ込んでいる2人はミシェルに今すぐ地球から手を引くよう要求する。一方、ミシェルは最初こそ、自分のCEOとしての立場等から解放を要求するも、2人とミシェルの間で対話は始まらず、状況は予期せぬ方向へ。

 

本編の多くはミシェルとテディ、そしてドン(ドンの主導権はテディが握っている)の地下室での会話劇で進んでいく。何も知らない人のために一応あらましを述べると、宇宙人は存在していると信じ込んでいる「陰謀論者」テディ(とドン)たちに疑われ潔白を証明しようとするも話が通じない「エリート」ミシェルという構造を楽しむブラックギャグである。大体は。

予告とか、エマ・ストーンが主演の感じ、そしてジェシー・プレモンスが話通じない役ってことでミシェル視点の話なのかなと思ったが、冒頭はむしろテディの語りで始まる。あんま情報を持たずに見に行った人はテディが言っていることがおかしいと気づくまで、まあまあ時間がかかったりするんじゃないだろうか。本編の多くはテディに感情移入できそうに作られており、(出来はしないと思うけど)俺としてはちょいちょいテディの感情を考えるのが楽しかった。感情移入できそうだができない理由はYoutube発信の情報を信じている陰謀論者だからだ。

 

()つきで書きまくってるドンはテディに完全に賛同してるわけじゃなくて、若干テディに圧をかけられる形で賛同している。ミシェルに暴行を加えてる時もドンは「なんだか間違ってる気がする…」とか「かわいそう」だとかいうんだけど、テディに「だけど〜な理由であいつは宇宙人だからこうしなきゃいけないんだ。そうだろ?ドン」とか言われて渋々頷くバランス感。ドン役の方は本編キャラクターと同様、実際に自閉スペクトラムを患っているらしい。演技経験は少ない新人らしいが、すごく味が出ててよかった。

 

物語的には誘拐は案外早いタイミングで行われる。誘拐する時、ミシェルを不意打ちで捕まえようとするんだが、CEOで人生が充実していて格闘技も習っているミシェルに2人は全く敵わなくてだいぶゴタゴタしてるのが面白かった。なんとかミシェルを捕まえた後、アンドロメダ星人は髪の毛で母星と通信をとるのでミシェルの髪を全部剃る。そして全身になんかしらのクリーム(洗顔とかかな)を塗りたくる。忘れたけどテディなりのロジックがある。

地下室で目が覚めたミシェルは状況をかなり早いタイミングで把握。私はCEOだから大量の警察が探し回るし、あんたらは終わりよ。みたいなことを言う。だが、それに対して爆笑するテディ。テディには宇宙人がごまかしのために言ってる言葉に過ぎないのでむしろ自身の要求を求める。話が噛み合わない。

「新月!」はプッチ神父なんですが、テディ的には月食の夜にアンドロメダ星人は母星へ帰ることができるので、残り4日でミシェルに要求を飲ませなければならない。要求というのはアンドロメダ星人に人類滅亡をやめさせること。宇宙船に一緒に乗り込み、皇帝に謁見して頼み込むという計画だ。最初こそ、強気のミシェルだったが、ガチでテディに話が通じないことを理解すると焦り始める。しかし、テディは録音テープに皇帝への謁見を頼む声明を残せとだけ言い残して、その日の2人の会話は終了。ミシェルは1人地下室に閉じ込められたままだ。

 

ミシェルはこの後も宇宙人のふりをして解放を求めたり、そのせいで拷問を受けたりする。一方テディはチャリ漕いで職場に行って同僚のおばちゃんに「俺たちがもう直ぐ世界を救う」とか言ってウキウキ。テディが働いているのはミシェルの会社の末端の下請けの工場だ。

ミシェルは拷問を受けて全身にとんでもない量の電気を浴びせられるが(ドンがやめようぜてっ止めたそうだ。)、その後急に悟ったかのように、ミシェルはただの宇宙人ではなく、皇帝本人だと言い始める。そして飯を一緒に食う。

 

真相というかなんというかという話だが、テディの母はミシェルの会社の治験のせいで寝たきりになっている。オピオイド中毒というやつらしい。無意識的にテディはYoutubeの宇宙人陰謀論と母を結びつけ、ことの元凶の会社のCEOミシェルに全てを回帰させたのだろう。それだけでなく、テディは養蜂家なんだが、ミシェルの会社の農薬のせいもあって蜂が減少していると思っている。(これはもしかしたら事実かも。)中盤、そのことに気づいたミシェルは対話を試みるもテディは激おこ。テーブルについて食事している最中だが、テーブルに乗って向こう側に座っているミシェルに遅いかかる。そのタイミングで地元警官がやってくる。ミシェルをひとまず地下に監禁し、地元警官と話すテディ。地元警官は20年前、あんなことがあってごめんな?ってめっちゃ言う。何が起こったか明らかにはされないが、母が寝たきりの間、テディの世話役を担ってくれたのが彼だったっぽい。その時になんかしら起きたのだろう。わざわざぼかしまくるってことは性加害だろうな。アリ・アスターならそうやろ。

 

警官と家の外に出て蜂を見にいくテディ。一方地下ではドンがミシェルを1人で見張っていた。ミシェルに取引を持ちかけられるドン。今なら、解放してくれたら、テディは多分無理だが、ドンは無罪になりうると。ドンはわかった!って言った後、持っている猟銃で自殺する。なんでかはわかんなかった。自分の良心とほぼ唯一の家族、テディの間で揺り動かされ過ぎて混乱してしまったのだろう。家から銃声が聞こえるや否や混乱してテディは自身の蜂を総動員して警官を殺し、ドンの元へ駆けつける。ドンが死んでいるのを見たテディは泣きながらミシェルを殺害しようとするも、ミシェルはまたもやテディに取引を持ちかける。厳密には取引じゃないんだけど、ミシェルの車(誘拐の時にテディたちが使っていた)のトランクに実は国際実験によって完成したオピオイド中毒の回復薬がある。それは一見不凍液に見えるが、あなたの母親を治してくれるはずだと。ミシェルは手錠で繋がれてるし逃げれない。だから嘘を教えるメリットなんてない。

テディはそのことを聞いて焦る気持ちを抑えながら不凍液を持って病院までチャリダッシュ!このシーンが本作のハイライトでした。病院について母の点滴に不凍液を混ぜるテディ。ミシェルの言ってたことは全部うそで母はこれによって死んでしまう。泣きながらチャリを爆走させて帰るテディ。本当にいいシーンだ。

 

一方、テディが病院に行っている間、どうにかして手錠を外したミシェル。ミシェルは脱出の糸口を探す中、閉ざされた部屋を見つける。そこには大量の人間の死体と宇宙人の調査結果が置かれていた。そんな書類をパラパラめくらずに逃げなさいよ。

テディが怒り全開で帰ってくるもミシェルの様子は全く変わっており、「真実」について語り始める。そしてうまくテディを信じ込ませて殺害まで持っていく。

 

 

冒頭に言ったラストの大オチは人類滅亡エンド。ミシェルは実は宇宙人だった〜。テディの言ってることは当たっており、しかし、テディのような存在との対話ができないという絶望感をベースにミシェル=皇帝は人類を滅亡させた。この時、地球にはなんともなく、人類だけ全員、事切れたかのようにその場に倒れており、いろいろな場所でいっぱい人が倒れてる様子を映す。毎度恒例、ランティモスの無音のエンドロールでは蜂がブンブンしたり、雷が落ちる音が鳴ったりと、人類なんていなくても地球は回っていきまっせを地でやってた。

 

 

 

面白かったです。本作のテーマはいろいろ感想見て咀嚼した感じ、やっぱ現代世界の対話の不可能性ですかね。もうお互い歩み寄って妥協することはできないってわけですよ。恐ろしいのがテディの反応で、最初ミシェルに「あなたの状況はエコーチェンバーよ」とか冷静に分析された際は、混乱してミシェルに殴りかかったりと全くもって納得をしないかのように書かれている。だが、ミシェルが「真実」を語り始めた時、そして不凍液で母親を救えると説いた時は驚くほどあっさり「納得」するのだ。多分、「信じたいものを信じる」の究極系で、論を違う論で捩じ伏せたり妥協することはできない、だけど、同じ方向のさらに強い、さらにメチャクチャな論で一瞬で封じ込めうるという意味だろう。怖いね。

ミシェルに冷静に分析されて、「誠実」に「対話」を求められるテディ。しかし、テディはそんなこともう聞き飽きていた。「誠実」だとか「話し合う」とか、「話し合うことを話し合う」とか…。もうやめろ!みたいに癇癪持ちのようにブチぎれて椅子を投げる。身に覚えがあって(された側)普通に怖かった。ちょっと笑ってしまったとこもあったが。

 

ここまで散々テディの「話の通じなさ」について書いたが、でも本作を見た時に果たして「テディが話の通じないヤバいやつ」という捉え方が正しいのかっていう話にもなってくる。ここからは俺のオリジナリティがあるよ!見てて思ったのが対話しようとしてるように見えて誰1人対話していないってことでした。テディはミシェルにはもちろん、ドンにも圧をかけて賛同を求めるばかりだ。ドンは自分の意見を持てるほどの力がない。一方でミシェルも高圧的に自身の「正論」をぶつけているだけであった。これは自身の職場の職員にも圧かけてたし、インタビューでは「多様性」ばっかでだるいなとか陰で言ってた。そしてテディには「正論」として彼が「エコーチェンバー」に支配されてるとか、母への思い込みが原因だと伝える。ミシェルの伝えていることはミシェルにとってはもちろん、観客にとっても「正しい」ことだ。しかし、テディの主観では「正しい」ことなのだろうか。

結論、誰1人、他者に寄り添う会話をしていないのであった。警官はテディに過去のことを何度も謝る。テディは鬱陶しそうにしているだけ。別にもう怒ってもなさそう。警官はただ自分のために謝っているかのように見える。ミシェルの論法は身に覚えあるので(する側)反省しなければならない人生だった。

 

まあもっと広く、陰謀論を考えてみた時に、本作の危険性は陰謀論を信じる人の病理として帰結して受け取りそうな人が多いことだ。いうまでもなく、陰謀論は社会の病理です。誰もが誰かを信じることができなくなった結果、最も耳にいい情報が真実味を帯びてしまうのは当然であって、それは信じる人間が心が弱いからだ!とかいう考えは非常に横暴だ。テディにはアンドロメダ星人を信じるに至った筋書きがあり、それは紛れもなくミシェルの会社のせいではある。他の方の感想だと、テディの母が寝たきりであることやミシェルの会社への怒りの発露こそが陰謀論というのもあって興味深かった。テディは自身の怒りを言語化して伝えることができない。そのため、自身の怒りを言語化してくれる、怒りを仮託できる陰謀論を信じるしかなかった。ここには当然、怒りだけでなくSOSが入ってる可能性も高い。

アメリカお馴染みの陰謀論といえば、ディープステートがあるが、これも、信じる層はどこに怒っていいのか分からず、ディープステートという物語に自身の感情を言語化してもらっているのだろう。誰にどう感情をぶつけていいのか分からないのだ。

この社会の病理に向き合うためには「正論」は一切の役に立たない。だって正論って得てして排外的になってしまう。陰謀論を信じる人を切り捨てることは正しくない。やっぱ寄り添いよ。『サウスパーク』の話で、いつかまとめるけど、なんでも大袈裟に捉えて不安になってしまう男の子のカップルの話がある。最初、トゥウィークにクレイグは正論をぶつけるだけだったが、共に不安を分かち合うことによって解決する。分かち合うことは、共感は難しい。お互いに一歩足を出さないといけなからね。そう考えれば、一歩もだすきのないテディにはもはや救いはないのか。むずいね。もちろんミシェルにも一歩も出す気はなかったのだが。

 

あと、今回筆が乗って長くなるが(大学で研究してる内容にモロ被りしてる。)、陰謀論という対話不可能性に文脈、物語を乗っけちゃうのはちょっと違うくない?とは思った。テディが陰謀論を信じていた理由は、結局母がミシェルの会社のせいで寝たきりになってたからであった。この文脈に載っていけば、テディの感情は説明可能になってしまう。でも陰謀論を信じている人、(信じてるのはこっち側かもしれんが)との間での対話不可能性はもっと、そもそものとこにあるんじゃないかというのはあって、「ロジック」自体が違うんじゃないの?と思ってた。実際のところは知らないが、個々人によって見える景色が違う以上、共有できる視点には限界があるし、その視点が全く違うロジックで動いてる可能性があるのは否定できない。

映画としてあんまり面白くなくなるだろうけど、テディが本当に一切ミシェルと関係ない世界も見てみたかった。母とか関係なく、「ミシェルは宇宙人。なぜなら宇宙人だから。」というね。母を救うためって言われたら、納得できちゃうのよ。だから感情移入できそうになるわけだし、自転車のシーンが神だったわけですが。なんていうかランティモスっぽくない感じも。ランティモスって「人と人は分かり合えねぇよ!バーカ」って言ってるイメージだったので。

 

あとラストの展開もランティモスっぽくなかった。もっと「多分人類は滅亡した?のかな?」とか「ミシェルってやっぱ宇宙人だったのか?」っていう余韻を残した終わり方をする人だと思ってたので「教えてくれんのね」と思った。ラストが衝撃って聞いて正味、人類滅亡は読めてたが、あんな人間だけ死んでる感じとはね。「ブゴニア」というタイトルが関係してるらしいわ。全然知らなかったのでここには書かんが。

 

テディ、嫌いだけど好きですね。自身の世界のルールを持ってるサイコパス、好きなんですよ。この映画を見てテディをその枠に押し込めるのはどうなんって思うかもしれないけど、まあみてる最中はそう思ってしまった。他に例示をあげるならサノス(ガモーラ殺す時泣いてた)とかピースメイカー(フラッグ殺した後、泣いてた)とかね。感情むき出しにしてるテディを見るとこの人は母が寝たきりになった時、時間が止まったんだなとわかる。

ジェシー・プレモンスはちょっと申し訳ないことに表立って好きとはいえないが密かに応援し続けたい。

 

そしてまださらに書くんかいという感じではあるが(ランティモス作品っぽさ)、テディは結局真実に辿り着いていたんだろうか。もちろん、結果的には一致していたわけですが。あの大量殺人してる小部屋、もうちょっとちゃんとみたかったんだけど、友達と喋ってる時、周りはグロかったね〜の感じだったので、俺があの小部屋もっとみたかったとか言ったらグロいのをみたがる厨二病みたいな扱いされそうで言わなかった。あの部屋で「考察」だけさせる感じはアリ・アスターとランティモスのぽさだな。その手には乗るか!と思ったが乗っちゃった。MIB的な宇宙人見れるかなぁと思ってたのでそこはがっかり。なんかランティモスの奇妙な造形、ちょっと好きだわ。『哀れなるものたち』の犬アヒルも意外と好きだった。

 

だいぶ盛り上がったのは面白かったからです。でも今作が許容ギリギリの長さだったのでランティモス監督はもっとショート系いっぱい作ってほしいな。『憐れみ』と競ってますが、『ブゴニア』のほうがいいかな。ランティモスはお抱え俳優もっと増やしてね。アリ・アスターは頑張れ。『エディントン』俺は好きだったので。本当は『エディントン』と比べたこと書きたかった。厭世思想についても。でもそれはまたいつかね。

 

 

【雑記】ソニー・スパイダーマン・ユニバースの終焉。映画本編より裏話のゴタゴタの方が面白いという狂気。

f:id:THESAME:20260226141833j:image

 

『SSU』終わるってよ。

 

https://hollywoodreporter.jp/movies/179397/

 

先日ソニーからスパイダーマンユニバースのリブートを測ってるとのニュースが出ました。これにてこれまでのヴェノムや愉快な仲間たちのSSUは死んだわけです。

まあ厳密のは昨年の『クレイブン・ザ・ハンター』公開のタイミングでSSUの終焉は予告されてたので別に驚きとかはないんです。せっかくちゃんと映画館で見てたシリーズで、当時の空気感とかもわかるので語ろう。

 

SSUとは「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」の略です。太古の昔、マーベル社は資金がカツカツになり主要キャラの映画化権を配給会社に売った。人気キャラのX-MENやF4は20世紀FOXに買われ同じく大人気キャラスパイダーマンの権利はソニーによって買収。手元に残った対して人気でもないキャラクターたち、キャプテン・アメリカやアイアンマンでマーベル社が特大ヒットをかましていくのは別のお話。

ソニーによって作られたスパイダーマン映画は大ヒットを飛ばすも、本家マーベルのMCUが上手くいくにつれソニーはこのままじゃダメだと。そんなわけでMCUにスパイダーマンを登場させることに。これがお馴染みのトム・ホランドのスパイダーマンだ。トムホスパイディがアイアンマンたちと共演した『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』、ひいては『アベンジャーズ3,4』は映画界に残るほどの成功を収めた。

これを見てお金いっぱいでいいなあと思ったソニーは自社でもユニバースを作ることに。トムホスパイディにMCUで荒稼ぎしてもらって、戻ってきてからはソニーのユニバースでカマスぜ!という計画だったのだろう。スパイダーマン登場の土台としてアイコニックなライバルキャラ『ヴェノム』が作成された。そしてこの映画はヴェノムのキャラクター性やトム・ハーディ渾身の一人芝居により一応ヒットした。かくしてソニーによるユニバースが始まった。(当初はSSUなんて名前ではなかった。)

 

MCUヒット後、アメコミ会社に関わらず各社が調子に乗ってシネマティック・ユニバースを作りまくった。そして多くが撃沈したが、撃沈の面白さ(アホさ)で言えば、高い金かけてビルまで作ったのにそもそも1作で死んだダークユニバースに続くのがこのSSUである。

SSUを構成するものは「無計画」につきる。つきすぎる。俺でももうちょい計画力あるぞ?この無計画さがトムホ、ひいてはスパイダーマンを出すのか否かやそもそものユニバース展開に大きな影響を与えてしまい、クロスオーバーは愚か、そもそもヴェノム以外シリーズ化しないままになくなってしまった。こんなもん見てるとスター・ウォーズのシークエルのバトンリレーは可愛く見えてくる。今日はせっかくなのでSSUの思い出を振り返ってみましょうか。

 

ネタバレあり

 

SSU:全6作

『ヴェノム』三部作、『モービウス』、『マダム・ウェブ』、『クレイブン・ザ・ハンター』以上に加え、ソニー体制化で作られ、クロスオーバーしたスパイダーマンシリーズ、『スパイダーマンNWH』 、『スパイダーバース:アクロス・ザ・スパイダーバース』についても再考。

 

『ヴェノム』

f:id:THESAME:20260226135338j:image

全ての始まり。そもそもヴェノムのスクリーンデビューとしてはサム・ライミ監督による『スパイダーマン3』での登場だったが、登場したヴェノムは観客の期待に応えるものではなかった。ヒョロガリだった。というのもライミは自分が子供の頃に読んだクラシック・スパイダーマン(勝手な名付け)が好きだったっぽく、相対的に新参者となるヴェノムには微塵も興味なかったらしい。だが、ヴェノムのキャラクター的な強さを重視したスタジオに入れるよう言われたと。

だから本作の筋骨隆々のヴェノムには大きな期待が集まった。見た目はほぼパーフェクト。そして名優、トム・ハーディがヴェノムの寄生元、エディ・ブロックを演じる。懸念点はMCUと並行して劇場に並ぶ、MCUとは関係ないアメコミ映画というややこしさだ。しかし、その懸念をぶっ飛ばすかのように映画『ヴェノム』はMCUなんて知らん!勢からも賛同を受け大いに盛り上がった。批評家以外で。

 

本作の面白(小馬鹿)ポイントは大きく分けて二つ。「かわいいヴェノム」と「古すぎる作劇」だ。

 

ヴェノムとは見た目のイメージもさることながら宿主エディを悩ませる寄生虫のような存在でそれはさながら二重人格に悩まされる人をイメージするような凶悪さの印象がある。多くの人もそうだろう。日本の漫画で言えば虎杖を悩ませ続ける両面宿儺のように。古の『ジキルとハイド』のように自身の凶悪な一面としてヴェノムは活躍すると思ってた。残虐なリーサル・プロテクター。

しかし、映画にてお出しされたのは『ど根性ガエル』だった。これで言いたいことは百わかるだろう。ここにおける間抜けなとこはおそらく狙ってそうなったわけじゃないってことだ。残虐なヴェノムという幻の存在は製作陣の「スパイダーマンと合流するためにレーティングを下げた結果、ヴェノムが全く人間を食わない」と「下手すぎる脚本のせいでヴェノムが即堕ち的にエディに懐く」という2点によって消えた。100歩譲って前者はともかく、後者はあかん。そして後者は二つ目の面白ポイント「古すぎる作劇」につながる。

 

「古すぎる作劇」これはもうソニー作のアメコミ映画全てに繋がってるんですが、2000年初頭を思わせるようなアメコミ映画ばかり作ってる。フォーマット的には「主人公の鬱憤とした日常をバカ長い時間→ヒーローやヴィランになる原因との出会い→能力使ってぶいぶい言わせる(この時点で1時間くらい経っとる)→誰かと何かしらの喧嘩→ラストバトル」

このアメコミ映画的お約束は純粋に映画をつまらないものにしており、MCUはそこから抜け出すためにオリジンをミステリー形式にしたり、他作でちょろっとやって本編ではキャラに活躍させまくったりする。去年のスーパーマンもいい例でもはやオリジンを所与として語らないなんてのも。

でもソニーはやるんすよ。ヴェノムがぶいぶい言わせ出すのもきっかり本編始まって1時間くらいからだ。そしてその頃には娯楽映画としてはもう後1時間弱しか残ってないのでヴェノムとエディの絆はかけない。だからヴェノムが秒でエディに惚れ込む。この古さに俳優が白人ばかりだとか、ラストでヴェノムが「アンは俺たちのものだ」とか冷蔵庫の女丸出し発言をかますことで追い打ちをかける。

 

そんな理由で評論家からは蛇蝎の如く嫌われた『ヴェノム』。ただヴェノムのキャラクター性とトムハ渾身の一人芝居が最高でユニバース維持程度にはヒットしたっぽい。

 

 

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』

ヴェノム続編。この時期ソニー、マーベル間でスパイダーマン取り合いのゴタゴタがエグく、スパイディMCU卒業まで行きかけた。マーベル社としてはスパイダーマンの権利を取り戻したいのだが、ソニー的にはドル箱コンテンツを手放せるはずもない。

小話にすぎないがホークアイ役の俳優ジェレミー・レナーもアメリカセレブとしてこの小競り合いに参戦。「ヘイ!ソニー!スパイダーマンをディズニー(マーベル)に返せよ!」とネット上であげるも、その後すぐにソニーとディズニーが和解して梯子を下ろされてる感じが面白かった。レナーは撮影中に勝手に刺青入れちゃったり、吹き替えが宮迫だったりと小馬鹿にされる要素が多かったが(本人自体も半グレっぽい。)、リアルヒーロー行為をしてからはその評判を跳ね除けた。(俺の中で。)

 

そんなわけで結局、このイザコザはトムホの力添えで解決したらしく、そんなわけでファンが気になってたのはこの映画に「直近公開予定のスパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」がつながるかというところだった。『NWH』は過去のソニー産スパイダーマンキャラの総決算的な内容で多くの人が期待しており、そこにヴェノムもあやかれるのではというわけだ。

俺自身もはっきり言ってどうなるかわからなかった。というのもヴェノムがつながる可能性もつながらない可能性もあったからだ。

・つながる可能性

公開日の重なり

ソニーとディズニーの和解

本映画の敵キャラがカーネイジ(カーネイジは原作ではとにかく強いキャラでヴェノム単体で倒せるわけがない。だからアベ3のように敗北エンドがありうる。)

・つながらない可能性

マーベル側がソニーにめちゃくちゃをやられたくない

ヴェノムバースは当時アメスパ(マーク・ウェブ版スパイダーマン)の世界線の可能性があった。

お互いに予告での匂わせが全くない。

そんなわけで本作のエンドロール後にトムホが出てきたのは流石に大興奮。スパイダーマンに気持ちの照準を合わせるために映画館断ちをしてた(ミラベルとかキングスマン3を見逃してる)俺が報われた瞬間だった。

 

本作は近年のアメコミ映画の上映時間長大化へのアンチテーゼかのように1時間30分程度しかなく、サクッと見れる映画だった。評論家からはまたもありえないほど厳しい意見をいただいたが、俺はSSUの中で一番好きなのはこれだ。

ただあまりにも弱すぎるカーネイジやあまりにも人を殺さないカーネイジなど前作に続く小馬鹿要素も多い。ただ、上映時間も含めポップコーンムービーとしては「ツッコミどころもありながらですから」というのがまさにベストなので好きな人も多い。カーネイジもようやく映像化したということで見た目は良かった。

ここがSSU最盛期です。

 

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

 

これはユニバース関係なく神作なので見た方がいいよ。ただ『ヴェノム:LTBC』でMCUバースにやってきたエディとヴェノムは登場しなかった。笑。

映画自体が最高だったので別に怒る気すら無く、「そういやでなかったな」とか思ってたらエンドロール後にひっそりと出て元のユニバースに帰った。んなアホな。ヴェノムがMCUにて行ったことは「アイアンマン」と「ハルク」というそのまんますぎる名前にツッコミを入れたことと、サノスを「キラキラした石を集めるエイリアン」と抽象化したことくらいだ。そしてMCU世界に今後一生回収されることはないであろう「シンビオートの破片」を置いて帰った。

 

ちなみにソニー代表がこの前後くらいの時期に「ソニーのユニバースはMCUと繋がり、スパイダーマンは相互のユニバースを行き来できる存在!」とか言って、秒でケヴィン・ファイギに「違う」と否定されていた。この夢はヴェノムの即帰により断たれた。

 

『モービウス』

f:id:THESAME:20260226135406j:image

この映画にてソニー叩きは決定的なものになり、強いてはアメコミ映画がバカにされるものとしてとんでもない影響を与えてしまう。

第一、このキャラを詳しく知らん。原作でもどんなふうに活躍してるのか知らないし。そんな中出てきたトレーラーでは主演ジャレッド・レトの姿が。レトはDCにてジョーカーを演じるも「行きすぎた役作りのせいで共演者からうっすら嫌われる」「そこまで役作りに力を入れたのに登場シーンは大幅カット」「しかもその映画が歴史的にコケる」という三連単によりバカねされる俳優のイメージがついた。ひっくり返すには本作が面白くなきゃいけない。

ちなみに予告が公開されてから1年くらい上映時期が決まらなかった。

 

そんな中、一応のヴェノムとMCUのコラボを端にしたのかソニーがスパイダーマン匂わせを!予告にMCU版ヴァルチャーであるマイケル・キートンを出したり、画像載っけた通り、壁にスパイダーマンが書いてあったり「考察勢」を賑わせた。壁に書いてるスパイダーマンは誰だ?!とかね。そして公開前には本当にそのタイミングでレトがインスタに2代目スパイダーマン役のアンドリュー・ガーフィールドとのツーショをあげる!!!これには流石に興奮した。

 

結果から先に言うと全くスパイダーマンは出なかった。それどころか上記の壁画のシーンはシーンすら存在せず。マイケル・キートンはまさかのエンドロール後のおまけ要素だ。しかも、これまでの作品と全く辻褄が合わなかった。『モービウス』自体もヴェノムで描いた「作劇の下手さ、古さ」は共通しており、式的には「『ヴェノム』−『ヴェノム』のキャラクター性=『モービウス』」みたいな感じで叩く要素が揃ってしまった。

海外ではこれを契機に『モービウス』と言う作品が日本でいう『デビルマン』実写のようにバカにしていいものだと決定づけられた。各種ミームが大バズり。アメコミ映画の権威を地に叩き落とした。はっきり言って「マルチバース疲れ」と「アメコミ疲れ」は7割程度SSUのせいだと思う。そして叩かれすぎてそんな悪くないやんと言う勢も出てきた。俺は面白くなかったと思った。

 

 

『スパイダーバース:アクロス・ザ・スパイダーバース』

 

前作『スパイダーバース』は面白かったものの、こんなSSUの現状見て大丈夫なん?って思ってたがめちゃくちゃ面白かった。日本では同日上映の『ザ・フラッシュ』をぶち殺した。俺は好きですよ。

というかソニーは現状、アニメ産業が天下とるレベルで強く、『K-Popガールズ!デーモンハンターズ』はもちろん、『GOAT』(日本未上映)も面白いらしいし、まあ強い。だから公開延期に延期を重ねた『スパイダー・バース3』も多分面白いんでしょう。

SSU的には本編や予告でミゲル・オハラに「アース19999でスパイディとドクター・ストレンジが余計なことをした!」とか言ってMCUに目配せしたがMCUからはガン無視された。

 

『マダム・ウェブ』

そんなこんなでSSUに振り回された結果、俺は見なかった。未だ見ていない。まずマダム・ウェブが誰なのかを知らんのよ。ヴェノムならともかく、もっと先にやるキャラおるやん?って思う。というかスパイダーマンを誰かしら出せよ。俺個人としては和系スパイディ『シルク』のドラマが制作中止になったことで(映画でやれよ)萎えてたのもあり、見なかった。

 

だからバカにする権利はないのだが、主演のダコタ・ジョンソンが方々、インタビューで「ユニバースとかクソよ!」とか「経営陣がクリエイターに関わるなよ!」とか公開前から言いまくってたので本作も安心して叩いていいのだなと全国の人間に思わせた。

 

あんまり話すことはないが本作の登場人物、エゼキエルについては原作コミックを読んだことあるので知ってるし語る。彼はコミック的にはスパイダーマンの強敵でスパイダーマンの敵が動物モチーフばかりなことに注目するキャラ。(なおさらモービウスの誰やねん感が強まる。コウモリという言い訳も可能だが。)結構面白いキャラなので実写で見てみたいなと思ってたが、この感じ、多分そんな内容はやらないだろうから『マダム・ウェブ』はみない。

 

 

『ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス』

f:id:THESAME:20260226140218j:image

この発表前後でSSUが終わるっぽいという噂が立ち始めた。当然を超える当然だ。よく今まで生き残ったな。

一方で噂によると本作にはマーベル・コミック比較的新顔ながらもキャラとしてインパクトを残してるヌルというキャラクタが出ることが言われていた。ヌルはシンビオート(ヴェノムの一族)の王で本当にめちゃくちゃ強い。カーネイジが霞むレベルでヤバいキャラだ。そしてサノスやドゥームのようにサーガのボスを張れる器がある。まあなんやかんやでワクワク要素はお出しされた。

あとはキャッチコピーに「死が二人を分つまで…」とか書いてあって、「エディとヴェノムは結婚したん?」と突っ込まれていた。まあヴェノム自体が残虐ホラーを離れ、「エディとヴェノムのバディイチャイチャ系」になってしまっていたのでもはやツッコミを入れる気すらなかった。その路線も好きだし。

監督はケリー・マーセル。ヴェノム過去2作で脚本にまわっていた彼女が監督になって出てきたのが本作ということで今までのイチャイチャ路線、そして脚本のガバさはお前だったのかと思った。観客はさながら玄関の前で狐の死体を見つけた兵十であった。

 

本編の「終わるからとりあえずやったれ!」感はエグく、大量のシンビオートが出てくる。ヴェノムが顕現することでヌルに追われるというルールなのに、ヴェノムはダンスをしたいからとかのアホな理由で顕現し、そして見つかるという謎のシーンもある。予告でマリガン刑事というキャラにシンビオートがついていた。からは原作ではトキシンという超人気キャラになるのだが、予告のトキシンは完全なヒョロガリで色も緑。ファンから「こんなのトキシンじゃない!」と言われてたが、映画見たらガチでトキシンじゃなくて、しかも秒殺されて笑った。

 

そしてこんなシリーズに思い入れのある人なんてゼロに等しいのに、エディがマルーン5の曲、『memory』と共にヴェノムを思い返すシークエンスを投入し本作は終わる。本当にこの映画はなんだったんだろう。アメスパ世界でリザードを演じたリス・エヴァンスを投入して完全に別キャラを演じさせるイカれっぷり(スカしっぷりか?)も良かったね。

 

 

『クレイブン・ザ・ハンター』

f:id:THESAME:20260226140230j:image

SSUが終わるとのアナウンスを前にどんな気持ちで見ればいいねん…。と思わされた本作だったが俺は供養のために4DXで見た。こんな落ち目のシリーズにどうやってブッキングしてんと思わされる人気俳優アーロン・テイラー=ジョンソンが主演。

 

やろうとしていたことはなんとなくわかるものの、ヴィラン誕生!というクレイヴンが王座でドヤ顔して座るシーンで終わったので、今後の活躍に期待!。とは思えないよ。SSU終わるの知ってるし。

まあクソつまんないというほどはない。SSU6作では「ヴェノムのキャラ的な強さ」を除けば完成度的には本作が一番かな。あとは日本の宣伝アカウントがやってた「クレイヴンの言い分」シリーズが面白かった。

 

 

 

 

 

SSUの真実

 

というわけで気合い入れてまとめました。SSUにはたとえば、「スパイディを見てウェブを使い始めたヴェノム」や「狩人としてスパイディという獲物に執着するクレイヴン」といったスパイダーマンありきのキャラをそれなしで描写しようとするという悪癖がある。ということはスパイダーマンを出したくても出せないという裏事情があったのではないか?と邪推するのがファンの心情。トムホでなくとも、マイルズ君やスパイダーグウェンを出せばユニバースの大成功は約束されている。じゃあやっぱ、MCUからスパイダーマンの価値を下げないためにも出さないでとかの契約を課されてんだろうな。

 

https://ginema-nuts.com/why-not-appear-spider-man-at-ssu

 

クレイヴンが上映を終えたあと衝撃のニュースが入ってくる。ソニーはスパイダーマンを出さなくても売れると思ってたから出さなかったらしい。なんでやねーーん。

こんな形でSSUに大オチがつくと思ってなかったのでニュースを見た時、怒りと呆れと嘲笑が同時に湧き出しすぎて爆笑してしまった。あなたが仮にハンバーグ屋の店主だったとしよう。ハンバーグを出さずにポテトや甘い野菜だけで生計を立てようと思うか?ハンバーグを出してなんぼだろ。でもソニーは違ったらしい。

 

そんなこんなで死んだも同然だったSSUが先日のニュースでトドメを刺されたと。ただソニーは無計画なので全然SSUが復活する可能性はあると思う。俺としてはトム・ハーディのヴェノムだけは好きなので継続して欲しいところだ。

 

 

SSUの映画の敗因は俳優のイメージに乗っ取られすぎたところは一つある気がする。

 

トム・ハーディという強すぎる俳優の映画『ヴェノム』は人気になり、ジョーカー役でケチがついたレトの『モービウス』はバカにされた。ダコタの『マダム・ウェブ』は本人自らバカにしていいと発したし、アーロンの『クレイヴン』は肉体美に注目が集まった。なぜか。内容がスッカスカだからだよ!!!!!

SSUは経営陣がコントロールしやすいようにか色濃い監督を雇ったりはしなかった。アンディ・サーキスにも悪いとこのない山崎貴のような職人気質感がある。スタウォもそうだがクリエイターに自由に作らせない会社の映画は失敗してるイメージが強い。

そしてそもそものヴェノム以外のキャラの得体のしれなさのせいで俳優にイメージを仮託するしかなかった。

 

 

SSUが最も調子に乗っていた時期、公開予定作品に『エル・ムエルト』が追加された。エル・ムエルトは長いスパイダーマンの歴史で2回だけ登場したプロレスラーらしい。誰がこんなのに興味あるんだ?『エル・ムエルト』は誰もが知らなすぎるあまり、逆に盛り上がったりもした。DCで今後公開予定の『クレイフェイス』のように、レスラー映画を作るために土台をスパイダーマンにしただけだったのだろうか。結局ブラック・キャットとかの見たいキャラは見ることができなかった。

 

一応SSU自体をいわゆる「トキシック・マスキュリニティ」つまり有害な男性性から捉える面白い観点の方も結構いらっしゃる。有害な男性性とは定義は曖昧だが、男コミュニティにおいて自らを男という役割に押し込めるべく、望まざることをやってしまうことだ。たとえば、男たるもの強くあるべきとの考えから誰かを傷つけてしまったり、男たるもの泣かざるべきとの考えから感情の発露を見失ったり。

この捉え方は面白いとは思いますがソニーが狙ってやってるわけではないと思う。『クレイヴン』はともかく、『ヴェノム』は古いアメコミフォーマットに則った結果、めちゃくちゃ古いキャラができてしまったっていうだけな気はする。有害な男性性っていわゆる「ザ・昔の男」ですからね。昔の映画さして「この映画は有害な男性性を表象してる!」って言っても、当時の男が全員そうやんとなってしまう。「関白宣言」みたいなね。ヴェノムシリーズもただ古いという理由によって偶然「トキシック・マスキュリニティ」を映し出してるみたくなってしまったんだろう。まあクリエイター陣がこういう描写入れちゃえって狙ってた可能性はあるが主軸にはなってなかったのが事実。

 

ゴミのように散って行ったSSU。一応ソニーのスパイダーマンシリーズとしては『スパイダー・ノワール』のドラマが配信予定なので楽しみに待ちます。

 

【感想】『ロジャー・ラビット』/カートゥーン版スマブラ。でも本題のエディ描写にも隙はない。

タイトル:ロジャー・ラビット

  監督:ロバート・ゼメキス

  形態:映画

既か未か:既

 

 

『ロジャー・ラビット』見返した。

 

なつかしーっ。皆さんは知ってるでしょうか。ロジャーラビット。アニメと実写を複合させた系映画の金字塔。ディズニーランドとか行ったことある皆さんなら「トゥーンタウン」と言うミッキーたちの家がある場所を知ってると思います。それの元ネタが今作。だいぶややこしいんですが、ディズニー映画って設定的にミッキーやドナルドは俳優、スターでアニメ映画は彼らが演じているって言う設定があるんですよ。で、そんな彼らが住んでいるのがトゥーンタウン。アニメと実写の人間が共存しているのが本作の世界観。

この設定はスターシステムみたいな名称で使いまわされてて、本作に近い作品でいうと『ザ・マペッツ』とか『チップとデール/レスキュー大作戦』とかがある。後者は本作の実質続編みたいな感じでファンからはあり得ないほど叩かれてる。

 

本作は原作を持ってるんですが、映画オリジナル要素として数多くのアニメキャラクターのクロスオーバーが大きな魅力。ディズニーキャラはもちろん、ワーナーのルーニートゥーンズやベティちゃんとかがわちゃわちゃしてるのには流石に多幸感を感じる。権利関係よく頑張ったよなとか言う渋い見方もできる本作の良さ。

それでいて、完全におふざけ用の舞台設定ってだけでなく人間キャラ、エディにちゃんと力が入ってるのはいいとこです。古き良きとは言ってしまうんですが、かなりの良作なんでディズニーランド行く前に見てはいかがでしょうか。

 

ロジャーラビット(チャールズ・フライシャー)はトゥーンタウンのスターで今日も撮影を行っているが、妻ジェシカ(キャスリーン・ターナー)の浮気疑惑に悩んでいた。撮影所長のマルーン(アラン・ティルヴァーン)は浮気の決定的な証拠を突きつければ、ロジャーも観念して撮影に打ち込むようになるだろうと考え落ち目の探偵エディ・バリアント(ボブ・ホプキンス)に調査を依頼する。エディはかつてはトゥーンたちのために仕事をしていたが弟をトゥーンに殺されたことをきっかけにトゥーン嫌いになり、酒浸りの生活を送っていた。しかし、報酬金の羽振りの良さもあり、仕事を遂行しておもちゃ会社の社長マービン・アクメ(スタッビー・ケイ)とジェシカの浮気現場を押さえる。この証拠写真を見たロジャーはショックのあまり行方不明になり、翌日アクメが殺害される。ロジャーはエディの事務所にやってきてアクメ殺しは自分ではないと述べる。いったい、誰がロジャーラビットを罠にはめた?

 

全体的にはアクメはトゥーンタウンの所持権を持ってて彼の遺書を探すとともにロジャーの無実を晴らすのがストーリー。アクメのおもちゃ会社といえばルーニートゥーンズのワイリー・コヨーテがよく使ってる会社の小ネタでしょうね。全然関係ないと思いきや、アニメと実写複合作品で少し関係のある話をすると、『コヨーテvsアクメ』という映画が今年公開予定です。予定っていうのはめちゃくちゃにお蔵入りしたりしててガチで公開するのかよくわかってない。ただジョン・シナとコヨーテが一緒に写ってるスチルフォトとか出てたんで。楽しみにしてるけど期待しすぎて疲れるんですよ。ワーナーは平気でお蔵するからね。『バットガール』しかり。アン・ハサウェイが主演予定のセサミストリートはどこに行ったの?

 

本作はタイトルのロジャーに加え、人間サイドのエディが実質的な主人公を担う。エディはあらすじでも書いた通り、かつてはアニメ好きだったものの弟を殺されてからというものの、アニメ嫌いで酒浸りの毎日を送っている。殺害方法はピアノを頭上から落とされるというものでこれはアニメ(トゥーンのことは以下アニメで行きます。吹き替えだとアニメだし。)常套手段。アクメ社長もピアノを落とされたのでロジャーが容疑者となる展開だ。

エディ自体はアニメ嫌いとはいえ、素質的な性格はよく、路面電車に乗れずバックボーンにこっそり座るシーンでは同じように無賃乗車してる子供達と楽しそうに笑い合ってたりする。一人乗り遅れた子供にコイコイってやってキャッチしてあげるシーンも保護良い温かみを感じる。ロジャーがアニメな分かはわからんが人間的なドラマを担うのは完全にエディで、エディがアニメ嫌いを乗り越えれるか、ユーモアを取り戻せるかというのが主題だ。

 

ロジャーはあんまいうことないので省略、ロジャーの奥さん、ジェシカも本作では結構面白いキャラだ。まずすごくグラマラス。アクメ社長とせっせっせをしている現場を押さえられてしまうが、実は浮気ではなく密会はアクメに脅迫されて行っていたものだった。ジェシカはそんな感じにも関わらずロジャーを溺愛してるのがいいところ。事件を解決すべく独自に動き始めるのがキャラとして生きてる感じがしていい。

 

ロジャーを追うのはドゥーム判事という男。みんな大好きクリストファー・ロイドが演じており彼もアニメ嫌いとして有名だ。判事は不死のアニメを殺す方法を持っており、それはディップという溶解液で溶かすという方法。他にもアニメは笑いすぎで笑い死にするがその2択でしか殺す方法はない。そのため判事は実写だが判事の部下のアニメであるイタチたちは強敵となる。

 

まあ結末までは書かないですがエディが酒を捨てるシーンだとかロジャーたちを助けるためにアニメのようにおとぼけまくるシーンはベタとはいえすごくいい。エディが過去を乗り越える、もしくは向き合うという物語の軸がブレずに発揮されてて最高です。まあストーリーは普通なんですが、アニメというトッピングもうまく物語に絡みながら機能してるし、そのおかげで豪華にもなってるからガチのウェルメイド良作。

ディズニー系としては結構アダルトな感じで下ネタも多いんですが、そしてそこを切り取って「ディズニーなのに下ネタがある映画○選!」とかうるさいオタクに取り上げられがちなんですが別に気にならんかったな。ディズニーオタクとやらは得てして全然映画見てないので衝撃受けるかもしれんが別にディズニーで下ネタやったところで聖域でもなんでもあるめえし。配給会社の問題だからその枠には全然『デッドプール』とかも入りうるしな。

 

他には夢のコラボ!これがいいですね。ドナルドとダフィーとか。バッグスとミッキーもか。エディが使う拳銃がヨサミテ・サムからのプレゼントだったり、カートゥーン好きはかなり楽しめます。こういう夢のクロスオーバーは『ワンス・アポン・ア・スタジオ』とか『スペース・ジャム』とかでも見れるが会社の枠組みを超えるのは結構レア。『レディ・プレイヤー1』は見てない。ウッディ・ウッドペッカーも出てましたね。彼、好きなんですよ。昔USJの年パス持ってた頃。その時はお土産袋に彼が写っていた。寂しくなるぜ。

 

ロジャーラビットが見事紡いだアニメと実写の複合はなんとか現代までほっそい線で生き残ってます。ひとまず『コヨーテvsアクメ』の安全公開を祈りながら、『ロジャー・ラビット』もいつか続編が来るといいな。

 

【感想】『ラーヤと龍の王国』/人を信じるって難しい。

タイトル:ラーヤと龍の王国

  監督:ドン・ホール

     カルロス・ロペス・エストラーダ

  形態:映画

既か未か:未

 

 

『ラーヤと龍の王国』見た。

 

 

思いのほかよかったです。見てなかったのを後悔するくらいには。

ディズニー産のプリンセス作品。その割にはプリンセスとしてあんま認知されてないよね。正直、プリンセスなのかもわからんが。

公開はコロナどんかぶりの2021年。当時、ディズニーは劇場公開と同日にディズニープラスで有料配信するという映画館殺しを積極的に行っており映画館という映画館からディズニーは強烈に嫌われた。そしてその怒りは映画制作者たちにも波及し、各種映画の予告等では公開日の下に「only in cinemas」という文言が追加されるに至った。まさにブチギレ。

ラーヤは同年?公開の『ミラベルと魔法だらけの家』に評判諸々で食われかけており限定配信も相まってかなり影が薄くなってしまった印象。だから俺も今まで見てなかったんやで?という言い訳。でも面白いらしいのは聞いてた。

 

まず座組が結構強くて監督のドン・ホールは俺が大好きな『くまのプーさん』に加え、『ベイマックス』など失敗知らずの男。ちなみに共同監督のカルロス・ロペス・エストラーダさんは知らない。ただ俺はドン・ホールを信用してるよ。脚本も知らん人だ。座組とかどやっておきながら恥ずかしい。でもね、キャストではみんなが好きなオーク・ワフィナが出てるんだ。なんか一人で全部持っていける感じというか安心感がすごい。次世代ジム・キャリーとかジャック・ブラックの位置に収まるんじゃないかな。実際この映画見てる時も「それなりに面白いね」って思ってたらオークワフィナのキャラが出てきて「面白いぞ?!」と思ってキャスト調べたらオークワフィナだったりした。かといって映画全体がくわれてるかというとそんなことはないので『マイン・クラフト』でジャック・ブラックが全て食い尽くしたみたいな歪さはなかったのが良かった。

 

東洋モチーフのプリンセスということでムーランに似つつもまた違った雰囲気感を出してるプリンセス。水、とりわけ雨にプラスの意味を持たせる文化的背景の話が面白くて昔聞いたっきり今でも覚えてます。映画自体も面白かったから今後も覚えておくことになるだろう。

 

ネタバレあり

 

その昔、聖地クマンドラでは人々と龍が共に暮らしていた。しかし心を持たない魔物「ドルーン」が現れ、触れたものを石に変えてしまう。龍たちはドルーンを封じるため、魔力を「龍の石」にこめる。結果、ドルーンは滅ぼされたものの、龍たちは消え去ってしまった。それから500年後、龍の石を巡ってクマンドラは分裂。5つの国のうちのハートで石は厳重に保管されることとなる。ハートの首長ベンジャ(ダニエル・デイ・キム)はクマンドラの再統一を目指し各国の首長を招いて交流を図る。ベンジャの娘ラーヤ(ケリー・マリー・トラン)はそんな中ファング国の首長の娘ナマーリ(ジェンマ・チャン)と友達に。しかし、信用してナマーリに石の場所を教えたところ裏切られ争いが勃発、混乱の末、龍の石は5つに割れてしまう。そして封印されていたドルーンは復活し人々を石に変えてしまう。その中にはベンジャの姿も。石の破片を託されたラーヤは伝説の龍シスー(オークワフィナ)を探し求め、また、石の破片を全て集めてクマンドラ再統一、そしてベンジャ救出を願う。

 

分裂した5つの国は砂漠の国テイル!水の国タロン!雪と氷の国スパイン!戦闘民族の国ファング!そしてラーヤの国はハートだ!

いや、長えよ。冒頭10分くらいでこの前提情報をぶち込まれ、次の10分で龍の石崩壊までをやるので序盤から疲れることこの上ない。覚えることが多すぎるわ。本作に対する唯一のそして明確な不満点はこれです。有名打ち切り漫画『サムライ8』の冒頭がよく馬鹿にされるがそれに近しい設定の詰め込み。もうこっちとしてはドルーンがなにでクマンドラが何か覚えてないからね。こういう設定祭りは作ってる側は楽しいだろうが一気に詰め込まれると覚えてられんよ。普通物語が進んでいく中でゆっくり明らかにされるもんね。でもこれはディズニー映画なので尺に2時間も使ってられん。だから詰め込むぜ!

 

まあそんなわけで物語が動き出すのも冒頭の前提詰め込んだ後、シスーと会うとこからです。シスーは声優がオークワフィナだけあって『アラジン』のジーニーかのように一人で物語を盛り上げまくり出す。いいね。このキャラ。

サブキャラの完成度の高さは今作の結構な魅力で旅で仲間にしていくブーン、トングやノイ、サルたちは尺的に詰め詰めなせいであまり深められないがそれでも好きになった。もっとゆっくりみんなでの冒険が見たかったよ。尺がいかんせん短いから難しかったんでしょうが、彼らとの関係においてラーヤが信じることができるかをもっとじっくり描いて欲しかったかな。

 

上述した通り、本作のメインメッセージは人は人を信じることができるのかってこと。かつてナマーリに裏切られた経験からラーヤは誰かを信じることができない。だからシスーが龍なこと(人間に変身できる)をブーンたちに隠したりする。一方シスーは信じることを肯定する派。龍の石を作るときに家族が自分を信じて託してくれたことが根底にある。そしてシスーはドルーンが生まれた原因も人がお互いを信じられなくなったことではないかと考えている。

これをもっと近られても良かったんじゃない?というふうには思うけども。ストーリーライン的には龍の石の破片を求めて各国を巡るんですが、信じる信じないの揺さぶりはスリの国で一回あった程度でした。だからラーヤとシスーの感情の変化のグラデーションがなされてなくて惜しい!ラーヤが誰かを信じることができないのは過去の経験という絶対的なトラウマがあるからなのでそことちゃんと向き合って欲しかったし。一応ナマーリとは向き合うわけですが。

 

もっとめんどくさいこと言うともともと龍の石を一人持ちしていたハートの国に上から再統一を申し入れられたところでね、という微妙さもあるし。パワーバランス的なね。ラストも有耶無耶というか、再統一はもっと難しいでしょ〜。これは『ズートピア』で黒幕が明らかになった瞬間、差別がスパーンとなくなったかのようなアニメ映画の限界を感じる展開でもあった。

 

でも良かった。人を信じるということについて割と真摯に向き合った結果かなと言うところもあるし。ラストはガーディアンズっぽかったね。

誰かを信じるって極論リスクでしかないですもんね。だって裏切られたら終わるし。ラーヤがまさにそうだもの。でも我々は社会的生物である以上、誰かを信じなければ生きていけない。裏切られるかもしれないのに。思い返せば俺の人生も裏切られてばっかの人生でしたね。でもまだ信じていたいですね。それしかできねえし。

信じるってのは善を信じるってことだ。その人にはメリットはないかもしれないけどその人の善なる行為を信じるんだ。でも別にその誰かは善に生きなくたっていいわけですよ。自分が得さえすれば。でもこの無駄さこそが美しさなんだなあ。

 

考えてみたがあんまり具体例が思い浮かばん。思ったより俺は誰かを信じたり裏切られたりしてこなかったのかもしれない。寂しい人生!でもこの前の衆院選は裏切られた気持ちなったよ〜。友人関係でも最近えぐい裏切られ方した。裏切りってかこっちが勝手に友情を信じてただけだけども。でもそれで落ち込んでたときに肩を叩いてくれた友人は俺のこと、信じてくれてたんでしょうな。ほんとに感謝しかない。

 

何気に人を信じるってテーマはディズニーでは少ないんじゃないだろうか。自分自身を信じる、夢は叶うと信じるは結構多いけど、パッと思いつかないや。だいたいみんな誰かを信じることは諦めんのよ。ラプもユージーンが裏切ったと思っちゃったわけだし。もちろんそこからのツイスト、助けに来てくれるってのが話的なカタルシスを生むんだけど。でも助けに来ないかも、、、。じゃなくて信じ続けてるキャラの方がいいよね。信頼感がばっちりハマってる感じで。思いつかねえけど。クソゥ。

 

後文字数稼ぐために全然関係ないこと書くがラーヤは純人間の中だと結構強いね。肉体的格闘能力が高いディズニーキャラ(人間)って割と少ないので嬉しい。ムーランよりは強そうよね。戦うプリンセスはいい。全国の幼女もこれみて強くなってほしい。俺も強くなりたいと思った。ディズニーキャラ最強ランキングはジーニーが単独首位だと思ってて魔法勢が多すぎるのでトップ10にすら絶対に入れないだろうが、ディズニーのスマブラとかあったら渋めの活躍はしてくれそうだ。剣キャラだからリーチも良いし。ちなみにそれで言うとシスーはどれくらい強いんでしょうか。今回だけだとあんまわからんかった。そりゃ強いんだろうけどね。

【感想】『サウスパーク/シーズン27、シーズン28』/フィクション越えの現実をどう風刺するか。冷笑のその先へ。

f:id:THESAME:20260222135906j:image

タイトル:サウスパーク/シーズン27  シーズン28

  監督:トレイ・パーカー

     マット・ストーン

  形態:アニメ

既か未か:未

 

 

『サウスパークS27 28』見た。

 

 

なんと!日本国内ではパラマウントプラスが2026年3月31日に撤退することが決まってしまい、サウスパークを見れる媒体がなくなりそうです。ワロタ。供養したいとこですが最近見始めた上に割とダラダラ見てしまったので感想もダラダラしたものになっていた。S27~28は一つのつなぎものとしての展開も多かったし楽しかったのでしっかりと記事として残します。なお、他シーズンは全然好きな回だけまとめる方式にする。言うて今シーズンも1話1話の側面はあるが都合のいいとこだけピックしていこう。

 

今シーズンはついにドナルド・トランプが出ます!というのも毎回大統領選をネタにして実在の大統領を出してるサウスパークですが、製作陣のトレイとマットは2016年の大統領選でトランプを戯画的に書くにはあまりにも現実離れしすぎてるとの意向から出さなかった。代わりにレギュラーキャラのギャリソン先生がトランプにそっくりの風貌でトランプとほぼ同じことを言うという力技に出ていたが(移民を犯して殺せとか言う)トランプの名称自体は出していなかった。大統領選をはじめとした現実風刺に力を入れすぎたことや単話ではなくつなぎものにしたこと、カートマンに彼女ができたことなどおそらくさまざまな要因でS20はいわゆる失敗に終わってしまった。ちなみに俺が初めて見たのはS21であんまり面白くなかった。面白いとこもあったが。

ところがトランプ出さない発言を撤回したのが今回。2024年以降もクリエイターたちは各々あらゆるメッセージを発し続けてきた。しかし大統領選ではまさかのトランプ大統領が再び誕生し、アメリカの今後を憂う結果となってしまった。こんな状況にトレイとマットも思うことがあったんだろう。だからこそのトランプ登場。そしてリベンジかのようにつなぎものとして作成する。現実に挑み続けることがクリエイターの誉だと思うし、特にトレイとマット製作のサウスパークは全方面右左問わずバカにしまくってきたある種、厭世感のある作風を貫き続けてきた。そんな中トランプを登場させる意味とは。

という謎の熱さが俺の中に生まれてきたのもわざわざブログ記事をまとめた理由だ。

 

 

ネタバレあり

 

 

コロラド州の小さな街、サウスパークの小学生、スタン、カイル、カートマン、ケニー(スタン、カートマンの声優がトレイ・パーカー、カイル、ケニーの声優がマット・ストーン)が騒動を起こしたり、騒動に巻き込まれるギャグアニメ。シーズン27では大統領にドナルド・トランプが就任。小学校のPC校長(ポリコレ校長)パワークリスチャン校長(トレイ・パーカー)に改名し、スクールカウンセラーにはなんとイエス・キリスト(マット・ストーン)が就任する。この大きな潮流は主人公たちにも影響を与え、中でも差別主義者のカートマンは自身の敵であるウォークが衰えてきたことに気力を無くしてしまう。

 

1話冒頭、いつもの通りユダヤとゲイの泣き言を聞くためにラジオのチャンネルを回すカートマンだったが、番組は流れない。なんと大統領の司令により番組が打ち切られてしまったのだ。カートマンは差別主義者として学校に赴くもいつもと違い誰も彼に対抗しない。リベラル絶対主義のポリコレ校長ならと思いきや、ポリコレ校長はキリスト教を推し進めるパワークリスチャン校長に改名していた。そして学校にキリストがやってくる。

学校という場に特定宗教を押し付けることになってしまいかねないとのことから大統領の横暴性に怒り始める生徒の親たち。いくらなんでもやりすぎだとして大統領の家に押しかける。そして2016年期大統領のギャリソンの家に突入するもギャリソンはすでに政治の世界から離れたという。「じゃあホワイトハウスにいるバカは一体誰なんだ?」

でトランプ登場!このオープニングシークエンスかな?が楽しくて良かった。純粋に結構ワクワクした。結局全話通してこの1話が一番面白かったけど、それだけで持ってけるほどの強度があった。

 

「サウスパーク」内では実在の人物を扱うとき、アニメライズドした見た目で出すんだけど、かつてのフセインのように完全に実写写真を使っている。振る舞い等はほとんど現実の大統領と同じだが、本作の設定としてサタン(悪魔)と浮気しているというものがある。トランプとサタンの間にできたお腹の中の赤ちゃんが本シーズンのキーとなる。

 

シーズン27では第1話で山上の説教やった後、2話はチャーリー・カークとICE回、3話はテグリティ・ウィード回、4話はラブブ回、5話はガザ回と時事ネタの規模がでかい。2025年って色々あったんだなあ。

 

1話の話の続きに戻るが、カートマンはWoke is deadシャツを着て完全に世の中に絶望。厭世的になり自殺を目論む。一人ではなく、バターズを道連れに。一方でサウスパークの住人たちは大統領に抗議することを誓う。これを取り上げるメディアは全員大統領にビビっており、コロラドの連中は頭がイカれてる、大統領に反発してるが我々はそんなことないですよって媚び売ってる。そんな怒れるサウスパーク住人の元にイエス・キリストが現れる。聖書でお馴染みの山上の説教が行われると思いきや。「大統領は気に入らない相手を潰すためならなんでもやる。コルベアの二の舞になりたいのか?」と耳打ち。コルベアとはもちろん、トランプ批判で番組を打ち切られたスティーブン・コルベアのことだ。

態度を一転させるサウスパークの住人。大統領からの訴訟は300万ドルの支払いと大統領の支援動画を送ることによって取り下げられることに。「300万ドルなら学校と公共の予算を削ればなんとか払えるわね」。

 

1話は風刺がキレキレでかなり面白かった。ストレートに面白かったから逆にあんまりいうことはない。ホワイトハウスからは反発の公式声明が出たらしい。サウスパーク全体を通じるトランプ風刺は「無計画」「圧力」「粗チン」の三本柱だが、後半「粗チン」イジリが増えていくのに対して1話はギリギリとはいえバランスよくやってて良かった。餓鬼大将的な圧力と無計画が現実に迷惑かけてるんでね。

 

2話のICEとチャーリー・カーク回も結構面白かったです。でもチャーリー・カークがなくなってしまったので無邪気に楽しみづらいというのが実情。サウスパーク内でのカークのディベートは全盛期のひろゆきのように論点ずらしが酷かったが現実がどうだったのかはしらん。バターズがユダヤ人がなんの役にも立たないというならどうしてベーグルは美味しいの?って聞いてて可愛かった。ディベートシークエンスが一番楽しかったかな。ベーベも久々に見れたし。ICEサイドもユダヤ人も天国に言ってるはずだと聞いて天国まで捕まえにいくとことか面白かった。正直現実で起こってること考えたら無邪気に笑えんところではあるけどね。

 

3話はあんま覚えてない。ランディがついにテグリティ・ファームを手放したかって感じ。ファンの間では不評っぽかったもんね。しつこかったからかな。

4話はラブブとサタン回。ラブブを悪魔崇拝の道具として使ってるのはオリジナリティ薄い風刺だったね。でもサタンの存在とかかってるとこもあるか。3.4話はそれなりでした。トランプの取材陣に多様性が溢れてるといいながらFOXニュースしかいないのは笑った。

5話はガザ回。この話はシンプルに面白かった。主人公の一人、カイルはユダヤ人なんだが最近流行りの市場予測アプリ(何にでもかけれる賭博に近いのかな?)でカイルのママがガザ地区の病院を爆撃するか否かの賭けが始まる。現実問題そんなことするわけないが、それを理解してるカートマンたちはカイルを怒らせることによってもしかしたら爆撃するかも?と思わせオッズを上げる利益相反の方法で荒稼ぎしようとする。この賭けは街中に広がり、それを知らないのは当事者のカイルのママだけ。カイルのママはママ友からもガザ戦争についてどう思うか、行動するつもりか聞かれブチギレてしまう。するとオッズがどんどん上がっていく。そしてカイルのママはガザへと向かう。

やっちまった!大損が確定したカートマン。カイルはこの賭けが始まって以来、賭けの中止を運営に訴えるも常にたらい回しされる。カートマンも賭けを中止してもらうため、カイルと協力する。って話。カイルの弟、アイクも賭けてたのが良かった。まあこの裏で大統領がサタンを流産させようと奮闘するという軸もある。

 

 

シーズン27はこの5話。いつもは1シーズン10話がセオリーなんですが何故か28に引き継がれる形に。シーズン28ではピーター・ティール(実業家)やピート・ヘグセス(国防長官)が登場、ヴァンス(副大統領)が活躍する。

 

f:id:THESAME:20260222135927j:image

 

ピーター・ティールにはあんま詳しくないが実業家でアンチキリストの専門家らしい。アメリカの実業家って結構人文学を収めてる印象にある。にわか語りにはなるけどトランプ陣営ってあんま一枚岩じゃないよね。イーロンも飛んだし。権力者各人の利益がドロドロした感じで結集して形作ってるイメージはある。

1話では、アメリカの児童を中心に爆裂ブームを起こした6.7ミームの謎を解明しに学校にピーター・ティールがやってくる。6.7ミームについても詳しくは知らない。誰かがたとえば「今日6〜7時くらいに起きた」って言ったら周りの児童が手のひらを上下しながら6.7!っていうってただそれだけ。なんで流行ってんのかは知らん。ジャパニーズちょんまげ小僧みたいな感じなのかな。6.7話を避けるためにわざわざ1シーズン5話にした説もあるらしい。

ミームのせいで爆笑しすぎて死にかけてるカートマンをターゲットにティールは謎を解明しようとする。同時にその謎の解明によってサタンの子供=アンチキリストが誕生することを阻止しようとしてる。この辺のコンテクストは在米じゃないのでよくわかんなかった。

また、ラブブの件などで街に異変を感じるイエスキリスト。パワクリ校長に相談したところ、女性を紹介される。その女性はキリスト教支持者とはいうものの、言葉にしづらいんだけどtheっていう感じのやつだった。キリストは最初は拒むもののパワクリ校長とのやりとりもあり、ついに大統領側の考え方に変化してしまう。

 

2話はホワイトハウスに現れる亡霊の話。裏でスタンは家を無くしておじいちゃんの老人ホームに暮らすことになる。なんとかしたいスタン。「サウスパークは最近迷走してるよな?」このスタンのムーブメントに反応が集まり、ビジネス化するためにスタンは仮想通貨「サウスパークを救おうコイン」を作る。詐欺師のように早口でコインの注意事項を述べるシーンは楽しかった。

 

3話は生成AIソラ回。この話もシンプルに面白かった。トトロが登場して日本でもちょっと話題になったね。生成AIが作り物だとわからずトトロたちキャラクターを容疑者に据えるハリス刑事。最終的にティールが逮捕されて終わる。

4話はターキーレース。国防長官ピート・ヘグセスが仕事せずにJKみたいにコンテンツ作りばっかしてるという風刺。あんま仕事してないから弱いのかヘグセスも刑事に逮捕される。

 

5話は面白さは微妙だけど好きだった。

スタン回。スタンとサタンって似てるな。クリスマスにティールとヘグセス解放のため、ついにサウスパークへやってくる大統領とヴァンス。その一団にはキリストも加わり最強へ。一方、サタンの子供が産まれそうということもあり、過去回からアニマルフレンズが再登場する。

サタンはホワイトハウスのザーメンしごき用に捕まっていたタオリーからヴァンスと大統領の浮気を知る。何言ってるかわからんと思うがとにかく27〜28の諸要素を回収しながらラストへと向かっていく。

 

 

この27.28は多分明確に伝えたいことはあって、それは伝わってきた。それは、こんな世の中だし、混乱に満ちてるけど、その中でもできることはある。それができても酷い世の中が変わることはないけど、変わるかもって思って待つしかない。ってことだ。

今シーズンでは世のうねりに呑まれ続けるキャラクター達を描いている。サウスパークの住人は大統領の訴訟に怖気付き、女児達はラブブ目当てに暴れ、バターズはソラを使って復讐する。スタンも仮想通貨によって今の現状をよくしようとするが、もちろん、そのためには誰かを食い物にすることになる。いつものサウスパークだね。

でも最終話には一応希望を持たせてて、27だとラストはネタニヤフにカイルのママが説教しにいくところで終わってるし、28ではスタンの思いがキリストに通じ、キリストは考えを変える。スタンが最後、家に戻れたのはちょっと感動。

 

でもその一方でサタンの子供が生まれることはなく、大統領にとってもハッピーエンドとして終わることに。このビターな感じはS21のラストのギャリソンが野放しになって終わる感じにも通じてる。

結局、一個人にできることなんて本当に些細なことに過ぎないもの。でも、だからしなくていいわけじゃないし、してみたら上手くいくかもよ?な厭世的なだけじゃない終わりは心が動くものがあった。

だってサウスパークってもともと、諸方向に矢を放ちまくる、意地の悪い作品だし。監督で言えばランティモスとかアリ・アスター型だからね。でもこんなメチャクチャな世だけど頑張ろうぜっていうトレイとマットの声が伝わってきた。彼らもサブスク関連のゴタゴタでだいぶ疲れたんでしょう。

 

シーズン29はどうなるんでしょうね。果たして日本で見れるのか?という前提もありながら。今までみたいに単話形式に戻して欲しいが今シーズンには特別な意味があったっぽいのでそれは良かった。ワンチャン継続もありあるが現大統領政権が終われば、また単話形式に戻るんだろうね。ウェンディ活躍回が見たいので楽しみにしてます。

【感想】『カーズ2』『カーズ・オン・ザ・ロード』/カーズの世界観拡張。ワクワク感だけで食ってこう。

 

タイトル:カーズ2

  監督:ジョン・ラセター

  形態:映画

既か未か:既

 

『カーズ2』みた。

 

別に感想書くか?って感じではあるけどディズニー作品全部感想かけたら嬉しいから書こう。ついでに『カーズ オン・ザ・ロード』についても書きますわ。

『カーズ2』は残念なことにピクサー作品の中でもダントツで評価の低い作品です。『カーズ』のレースの中での新世代と旧世代の衝突、そして和解という路線をかなぐり捨て、スパイ映画路線を打ち出した。何故。

監督ジョン・ラセターはこの作品を最後にセクハラのせいもありピクサーからは追い出されたため遺作となっている。この物悲しさは作品の出来も含めて『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でジョス監督が干された感じに似ている。奇しくもどちらもセクハラで干されてるし。

 

本筋はメーターのスパイ活動に加え、ライトニングとの友情を描く。まあそんな感じ。

 

ネタバレあり

 

新進気鋭のレーサー、ライトニング・マックィーン(オーウェン・ウィルソン)は「ワールド・グランプリ」への参加を招待される。世界を巡るレースはアリノール社のCEOマイルズ・アクセルロッド卿(エディ・イザード)がバイオ燃料「アリノール」の有用性を示すために開催したものだった。ピットクルーとしてマックィーンに同行するメーター(ラリー・ザ・ケーブル・ガイ)だったが行く先々でトラブルを起こしてしまい、マックィーンとは険悪に。そんな中始まったレースではアリノールを使用したレーサーたちが原因不明の故障を起こす。かねてよりアリノール社を調査していたスパイ、フィン・マックミサイル(マイケル・ケイン)ホリー・シフトウェル(エミリー・モーティマー)はメーターをアメリカのスパイと勘違いして協力を求める。

 

本作はスパイアクションや黒幕の存在、取り巻く陰謀、そしてライトニングとメーターの友情が主軸のはずだがそれらはいまいち面白くない。ごめんね。

一応、故障車が黒幕でアリノールを敢えて危険なものに見せかけバイオから石油の時代に振り戻して金儲けしようとしていたっていうちゃんとしたプロットはあるんですがそれがいまいちライトニングとメーターの友情に結びついてないんですよね。

メーターの振る舞いをいちいち正そうとして友情に亀裂が走ることに関して、どこにいてもありのままの自分でいいというメッセージはあるのかもしれないですが、それにしてもメーターは弁えろよ?ってとこはちょっとあるし。で、メーターもメーターで悪気があるわけじゃなくすぐ反省もするので居心地の悪さがすごい。

そもそもメーターとライトニングの関係って難しいんですよね。例えば、『モンスターズ・インク』のマイクとサリーのように往年の親友でもなければ、『トイ・ストーリー』のウッディとバズのように鏡像関係の確執を乗り越えたわけでもない。まあ本当に二人の関係は親友以上でも以下でもなくて、むしろ物語的に幅を持たせられるライトニングとの関係性はキングやドック、サリーに発生するはずなんすよね。新世代と旧世代の関係がカーズの主軸なので。

ここにおいてメーターのさらなるややこしさはメーターって旧世代の象徴的な車種でありながらも本人自体は純粋無垢で何も気にしてないというチグハグさがある。ここに対する一応の対称性としてライトニングはちょっと性格悪めみたいなとこはあるんだけどさ。

この扱いずらさが『カーズ3』で大幅に登場シーンが削られた理由だろう。

 

では本作ではどうだったか。前述した通りですがメーターはアホだけど頭は切れるキャラになっててそれはいいんだけど、それがメインになったところでね。メーターが輝ける場所を見つける物語としても若干ブレてるっぽい。スパイになるのは完全に成り行きな上に「マックィーン」を救いたいがメインの目的なのでスパイ活動自体がメーターの自己実現になってないからだ。

あんま厳しいこと言うのもなんだがラスト、メーターは自身の振る舞いに反省し、ライトニングも君はそのままでいいと言って歩み寄るんですが、これは正直問題の不可視化にしかなってないですね。だって実際、『カーズ3』では復帰トレーニングにメーターを連れて行くそぶりすら見せないわけだし。また迷惑かける可能性が高いからね。まあそんな理由じゃないんだろうが。でもライトニングとメーターは二人でいる時より各々ソロでやってる時の方が輝いてるよ。

 

 

ここまで散々言ったがじゃあ今作のいいところってどこよと思った皆さん。結論から言うと世界の拡張です。今は亡き(意訳)ラセターが作っただけあって、そこは腐ってもジョン・ラセター。見ててワクワクはする。それもかなり。例えば今作では世界を回るんですが、その中のトイレだったり空港だったり些細なディティールですが、車ってこんな感じで生活してるんだ〜。って楽しく見れます。そして新キャラ、フィンとホリーもぽっと出にしてはかなり魅力があって活躍したり空飛んだりしてるの見てて楽しい。

ほんとにディティールは神ですね。例えば序盤、スパイ行為がバレてぐちゃぐちゃにされる車がリーランド・ターボって名前なんですが、聞きました?リーランド・ターボ。映画内ではクソほども活躍してないのにその名前のかっこよさのおかげで脳内に活躍シーンがありありと浮かんでくる。

 

カーズはラセターが車大好きで作ったということもあって、サイケデリックな世界観が本当にいいんですよね。何故サイドミラーがついてるの?とかドアいらんくね?とか世界観について考えると無限に味がする。どうやって子供産んでると思う?いや、マジで。エグめの性癖界隈にドラゴンほにゃららってのがあるがあれでも片方は生命を持った生き物ですよね。車は受動的にしかなり得ないわけで。車同士だよ?この辺でやめとくか。

 

そんなわけでポップコーンつまみながら見るくらいにはちょうどいい映画。ちなみにピクサー界ではこの作品をぶち抜くクソさの『バズ・ライトイヤー』が出てくれたので相対的にクソさも薄まっていることだろう。今後フィンやホリーの再登場は是非見たいところだがライトニングと食い合わせが悪すぎるのがきつそうね。

 

 

 

タイトル:カーズ・オン・ザ・ロード

  監督:ピート・ドクター

  形態:配信アニメ

既か未か:未


『カーズ/オン・ザ・ロード』みた。

 

ディズニープラス限定シリーズで一話約10分が全話10話分。サクッと見れるが別に必見ってほどじゃない。よくあるミニシリーズなのでこれを見なかったところでね。でもなんとなく見た。

 

ネタバレあり

 

ライトニング・マックィーンとメーターは親友同士。メーターは姉の結婚式に出席することになるがあまり気乗りせず、、。そこでライトニングはメーターについていくことにし、共に結婚式までの道中を楽しむ。

ディズニープラス限定作品はメインキャラの吹き替え声優が変わるのがルールなんですが今作は変わらなかった。メインキャラは。サブキャラ、ラジエータースプリングスのメンツは全員声変わってた。ちょっと寂しいな。

 

本作自体はロードムービー。ロードだけにね!!(2回目)別にロードだけにでもねえしな。かかってないから。あんま好きなタイプのロードムービーでもない。好きなロードムービーって目的地が目的地ではなくなり、それまでの道中で大切なものをすでに手に入れてたっていうとこなので、全然最終話でこれまでの学びを生かせてないメーターはあかんね。

道中、現代車たちが恐竜車から進化したものであったと言う衝撃の事実が明らかになったり、シャイニングのパロディしたり、メーターが死んだりしながら(ガチ)結婚式へ向かう。

 

特筆すべきことはほんとにないです。『カーズ2』と同じく世界観拡張の楽しさはあるものの楽しさ以外はほとんど皆無に等しい。これ描くために他の人の感想とか調べてたら車種に関してブチギレてる人がいて面白かった。興味深いの方の面白さね。車オタクのラセターが蒸発したのも一因なんだろうか。

 

そんな細かいとこはわからないのでまあ普通に楽しんだ程度です。でもいつか渋いライトニングはみたい。ドックみたいに指導者として落ち着いたライトニングが見たい。あとキングとチックも好きなので出てくれたら嬉しかったな。そんな感じですわ。

【雑記】MCU・マルチバースサーガを振り返る/なぜMCUは失敗したんだろう

 

マルチバースサーガについて思い返していました。

 

ちょうど『ワンダーマン』の記事を書き終え、終盤MCUへの熱が(怒り)湧いてきたのでせっかくなら勢いに乗ってまとめます。私も今やMCU全部見るマンになってしまったのでマルチバースサーガ前作のtierを作って書き記します。なお、今これ書いてる段階で『アイアンハート』、『アイズ・オブ・ワカンダ』、『マーベル・ゾンビーズ』は見てないので見次第追記します。全部見るマンのくせに熱意も消えたかって思われるかもしれないけど、純粋にディズニープラス解約してただけ。同居人が復帰してくれてみれるようになったのでとりあえず『ワンダーマン』みただけで、頑張って上記3作も近いうちに見ます。頑張ってとか書いてる時点で危ういけどな。

 

あわよくばこのブログもいろんな人に見られて議論の活性化に役立つと嬉しいのでいつもの引用の感じでこれまでのMCUの空気感について書きます。MCUこれからみようかなって人とかは引用読んでくれればMCUファンと同じくらいの空気を享受できるぜ!

 

2019年『アベンジャーズ/エンドゲーム』の大ヒット後、『スパイダーマン/ファー・フロム・ホーム』を公開、名実ともにMCUは映画界の頂点を取り「インフィニティ・サーガ」を終えた。ちなみにこの「インフィニティ・サーガ」とはシリーズの総称でありジョジョで言えば「ダイヤモンドは砕けない」みたいなことだ。

フェーズ1、2、3と呼ばれるシリーズ群が終わり始まったフェーズ4からはのちに「マルチバース・サーガ」と呼ばれることとなる。この時マーベル社トップのケヴィン・ファイギ、そしてその親会社ディズニーCEOのボブ・チャペック(のちにボブ・アイガーに交代だが二人がしたことは諸説ありつつも方向性は変わらんので気にしなくていい。)は本当にブイブイ言わせていた。そして今後のMCUとして膨大な計画を発表。多くの作品群の公開を予告し、その中にはディズニー型集金装置、ディズニー+でしか見れないドラマシリーズも存在した。

しかし、コロナ禍でのゴタゴタや大統領のチェンジによるアメリカ国内の空気感、サブスク限定配信への不満、そしてお馴染みのスコセッシの「マーベルは映画じゃない」発言が荒れたりとかほんとに色々あった。そんな中ライバルDC社のユニバースの犬死にやソニースパイダーマンユニバースの自爆を通じてアメコミ映画自体が「ダサいもの」として認識され始める。ここにはもちろん、サブスク配信のドラマシリーズの不評さが存在した。限定で見せるほども面白くないが映画には繋がってくるというだるさを感じさせ始めた。

特にフェーズ4はフェーズ3の戦後処理としてあえて渋めの作品を作っていたものの、フェーズ5からかます気持ちで作った『アントマン3』が全く失敗したことが追い打ちをかけた。

映画、ドラマともに有効手を打ち出せないMCU。そんな中MCUが使った奥義がマルチバースシステムを利用した旧スターキャラの再登場。これは話題性も高く映画における人気は出たがいずれも一時的なものでありかえってアメコミ疲れを加速させるものとなってしまった。

そんなわけで話題性重視の『デッドプール3』等、売れそうな作品以外は公開しないというMCUルールができてしまい『ムーンナイトS2』や『ブレイド』など数多くの作品がお蔵に入ってしまい、アメリカ国内では「MCU is back/dead」ミームが流行り始める。

映画を作れば売れるわけではなくヒットのために置きに行った作品群しか出せないMCU。一方で人気を期待できないサブスクシリーズはほっぽり出され話題性は薄いものの良作が生まれ始める。クリエイターは「売り上げ」のためではなく「作品」のために作った方がいいものが生まれると言う原理だろう。

当初の予定にあった『アベンジャーズ/カーンダイナスティ』は中止されMCUは起死回生の手段として完全に過去の遺産に頼ることを決める。それはかつてのアイアンマン役ロバート・ダウニーJrの復帰と『エンドゲーム』監督のルッソ兄弟を呼び戻すことだった。究極に置きに行った映画『ドゥームズデイ』はまあ多分売れそうとはいえ、かつての勢いを取り戻させるのだろうか。

長えよ。と思ったかもしれんが6、7年間の軌跡をまとめたと言う点ではむしろ頑張ってる方でしょう。ここに書いてないことも本当に色々あったんよ。いや、マジで。そんなこんなしてるうちに日本のファンからはマジでそっぽを向かれ、今マーベルを見てる人はかなり少数派だと思う。じゃあTierに移っていきましょう。

 

 

Tier S

『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』

『X-MEN97』

『サンダーボルツ』

Tier A

『ファルコン&ウィンターソルジャー』

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

『シーハルク ザ・アートニー』

『デッドプール&ウルヴァリン』

『スパイダーマン フレンドリーネイバーフッド』

『デアデビル ボーンアゲイン』

『ファンタスティック・フォー ファースト・ステップ』

Tier B

『ワンダヴィジョン』

『ロキ』

『シャン・チー テン・リングスの伝説』

『ムーンナイト』

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーvol3』

Tier C

『エターナルズ』

『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』

『アガサ・オール・アロング』

『アントマン&ワスプ クアントマニア』

『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』

『ワンダーマン』

Tier D

『ブラックウィドウ』

『ホワット・イフ』

『ホークアイ』

『ミズ・マーベル』

『ソー ラブ&サンダー』

『アイ・アム・グルート』

『ウェアウルフ バイ・ナイト』

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャル』

『シークレットインベージョン』

『マーベルズ』

『エコー』

 

個人的な好みがだいぶ入ってるしあんま覚えてないから見直したら上がる作品は多そう。普通にシーハルクの場所とかにキレてる人はいそうだが順番に振り返るので今すぐ怒るのだけはよして欲しい。なお、目安としてはSが個人的に好き。Aが結構好き。Bがそれなり。でCが好きなシーンはある程度。Dは普通です。別にMCU結構好きなんで嫌いな作品とかはないよ。まあこの作品のここが嫌いとかはあるけど。

 

『ドクター・ストレンジMoM』

これは偏愛なのであんま気にしないでほしい。それに当時はワンダの扱いにぶちぎれてた人も多い印象。個人的な良ポイントはストーリーラインがマジで読めなかったこと。予告見ても、試しにまだ見てない人は予告見て欲しいんですが、誰が敵でどうなるのかわからないんすよね。そのカオスを存分に活かし切ったサムライミの勝ち。

ストレンジの「大いなる犠牲」論とともに「自分でメスを握りたがる」というドラマをジェットコースターのような勢いの展開で包みつつ決着させるのがほんと見事としか言えない。まあ確かにワンダの扱いやイルミナティを殺しまくるのは気になりますが好きな映画って欠点を良点が上回ることが重要なのでそれで言えば、ワンダの本気も見れるし、純粋に何回でも見れる楽しさがある。

ただストレンジ3のアナウンスがされないってことは失敗作扱いなんでしょうね。残念!

 

『X-MEN97』

ひっそりと公開されたアニメシリーズ。97年にやってたXMENアニメの続編らしく、声優とかは引き継がれている。ひっそりと言うのは日本国内のことでアメリカではめっちゃ盛り上がってたっぽい。日本では吹き替えも製作されないし、周りの人も誰も見てないんだけど、見たかったXMENをついに見れた感じがしてよかった。いい作品にはあんまり言うことない。なぜなら個別記事書けばいいし。ちょいとググったらみんな基本的に褒めてるのでいかがか。

 

『サンダーボルツ』

これもストレンジと同じく、欠点を良点が上回ってる系作品。と言うのもこの映画に関する感想は完全に2分されてて精神関連をうまく料理した最高の作品と言う人とタスクマスターの扱いに伴って感情が死んだと言う人である。俺は前者と見せかけてセントリーが好きなだけです。ようやく見れた実写セントリーはなんか思ってたのと違うかったがまあ見れただけで満足。随所、例えば基地での戦いやバッキー到着シーンなどのアクションも楽しかったし、本当に程よく楽しかった。もっと面白くてもよかったよ。でもワクワクして見れただけでもよかった。エンドロール後もワクワクさせてくれたし。

 

Tier Aも結構好きな作品多めです。

 

『ファルコン&ウィンターソルジャー』

まあ普通におもろい。ジョンのキャラも良かったし。ただこれは映画でやるべきだったんじゃね。みんな言ってるけど。敵キャラ、カーリのしょうもなさ以外は比較的高水準です。ジモとかも楽しかった。

 

『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

まあこれも言うことないでしょう。予告が出たのが確か夏だったんだけど、オクトパスが出た時の盛り上がり方はえぐかったですね。そしてその時点で歴代スパイダーマン出てくるのなんかほぼ決まったみたいなもんですけど、ネットだと考察が盛り上がってて、出るのか出ないのかわいわいしてた。そして最近ハマった方は知らないでしょうが『呪術廻戦0』とのバッティングを避けて日本では本国に3週間遅れで公開。ざっけんなよ。マジで。俺はネタバレ対策のためにインスタ消したからね。ここがエンドゲーム以降のピークでしょうな。

 

『シーハルク ザ・アートニー』

なんでやねんと言われそうですがMCUの世界を拡張しつつゆったりやると言うのが個人的には結構好きでした。魅力的なサブキャラ、ブロンスキーとかウォンを楽しく使ってゆるゆるやる感じ。過剰なメタネタとかはどうでもいいと思ってるので苛立ちもせず。言ってしまえばガチで見る必要ないんですよね。それがいいとこだった。映画で書くほどじゃない日常をドラマでやるってこれがベストだと思うし。最終話に怒ってる人が異常に多いが別に俺も好きではないよ。ただ、そんなに過剰反応しなくてもいいんじゃないかな。「KEVINが最強じゃねえかよ」とか言ってる人もいたがそういうギャグだし。

 

『デッドプール&ウルヴァリン』

個別記事でいっぱい書きたいことあるけど、これは迷うわ。当時の空気感的には2024年のディズニーを救った三銃士に数えられてたけどどうしても強度は薄い。デップーの物語ではないんすいよね。ウルヴァのドラマはちゃんとやってたが。当時一緒に見にいったロキ推しの先輩がドラマロキとやってることほぼ一緒って言ってたが確かにそうや。冒頭踊り終わるくらいまでは本当にガチ最高だった。でもFOX追悼がうまいこといってたかと言うとエンドクレジットはよかったけどねえ、、。

 

『スパイダーマン フレンドリーネイバーフッド』

特に言うことない。面白いよ。マジで。予算足りんかったのか背景モブがスカスカなことだけ気になった。でも本当にそれだけ。

 

『デアデビル ボーンアゲイン』

デアデビルはファイギが力を入れてる作品らしく、何度も脚本が校正されてた。そもそもの背景を言うとネットフリックスでやってたドラマ『デアデビル』の続編です。デップーみたいな感じでキャスト引き継ぎのリメイクというかね。説明はむずい。

そんな感じで力が入ってるだけあって流石におもろいがめちゃくちゃ途中で終わった。これ書いてる現時点で2026年3月に続編予定。だから続編見るまでなんとも。でも面白かったよ。MCU要素もうまいこと使いつつ頑張ったね。でもいつまでマットとフィスクは戦っとんねん。こっちはマルチバースで忙しいのよ。という気持ちもある。俺はブルズアイ好きだから早いとこ真剣に戦ってほしい。

 

『ファンタスティック・フォー ファースト・ステップ』

2025年は『キャップ4』のサムへの愛着や『サンボル』の精神関連への否定しづらさで溜まってたMCUへの鬱憤がここで解放された。SNS上では蛇蝎の如く嫌われ酷評され、残念なことに公開時期が被った『スーパーマン』と比較されボコボコにされたが俺は好きだ。オープニングの良さがやばくてF4を映画で見たいと思ってた俺は泣いた。FOX版にはなかったものがそこにはあった。展開の甘さとか絵作りの弱さは気になるが(ギャラクタス使ってんのにバエてないのはやばい)なんか、F4好きな人たちが作ったんだなあという感じがして胸がジーンとした。

 

Tier Bの諸作品についてはあんまり書かなくてもいいかな。個別記事で詳しく書けばいいし。面白いよ。普通に。『ロキ2』『ガーディアンズ3』については違和感ある人多いと思うのでそれだけ言うと、『ロキ2』は1と分けるのめんどくさくて一緒くたにしただけ。当時難しくてよく分かってなかったのもあるし、カーンがもうどうでも良くなっちゃったからワクワク見れなかったと言う残念さもある。でも面白いからそこまで落ちていないのだよ。『ガーディアンズ3』は面白かったけど、あまりにもロケットの物語だったからなあ。ガーディアンズ解散もラストで急な感じもあって一昔前のディズニー映画を想起させた。でもどっちも好きよ。

 

Tier Cは書きます。ここは全体的に好きじゃないけど好きなシーンがあった程度。でもその好きなシーンが結構よかったりするからこの一言形式に合致してる。そう言う意味でB群は書きずらいのよね。

 

『エターナルズ』

これ最近見てないだけで見返したら上位に来る可能性高い。でも印象いうと一人一人のエターナルズにあんま愛着湧かなかったからドラマ形式にでもしてじっくりやって欲しかったね。クロエ・ジャオもそっちの形式の方が愛情深くじっくり書けたんじゃないの。ちなみに好きなシーンはアリシェム顕現です。人知を超えた存在って感じが本当いい。あわよくば喋らないで欲しかった。

 

『ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー』

Bでもいいんですがね。シュリの覚醒シーンでキルモンガーと出会うのがよかったりとかネイモアの存在とかチャドウィック・ボーズマンを絶対に出さないぞっていう感じとか良いとこはいっぱいある。でもそのチャドウィックの不在を意識しすぎててシュリが家族を失いすぎるという歪さは生まれてますよね。あと葬式ムードすぎて盛り上がりづらい。まあ全体的に惜しいとこも多い印象を受けてしまいますね。

 

『アガサ・オール・アロング』

ちょっと喋りづらい。好きなんだけど周りが褒めすぎてて乗っていけなくなったしまったとこはある。ラストの種明かしとかもよかったけど、やっぱ気になるな。あんまりアガサに興味ないのがでかい。アガサというキャラにね。ごめん。昨日書いちゃったからわざわざまとめないけど、ワンダーマンにも同様の感情を抱いてます。強いていうならアガサは「彼女がもしかしたら悪人かも?」というツイストを入れるために内面を深めないから興味湧かないとこはある。あとクソどうでもいいが発表段階からタイトルが変わりすぎてて把握しづらい。『アガサ ハウス・オブ・ハークネス』だと思ってた。

 

『アントマン&ワスプ クアントマニア』

今となってはどうでも良くなってしまったカーンのデビュー作。(厳密にはロキがデビューだが)。アントマンの良さをほとんど捨ててしまった3作目。キャシーが過剰左翼みたいになってたのも成長軌道を見れなかったこともあってイマイチ乗り切れない。し、ジャネットが詳しく喋ってくれないということが物語を推進させるのでストレスがえぐい。

でも可能性の渦?だったかな、あのシーン大好きすぎるんですよね。あとピムが大量のありつれてくるシーン。前者はスコットのキャラ性をうまく保ちつつ、解決方法がお互いに観測することっていうのがめちゃくちゃいい。(言わずもがな、元ネタはシュレティンガーの猫で観測によって可能性が収束することを表してる。)

 

『キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド』

残念なことに全てにおいて『ウィンターソルジャー』を下回ってしまっている本作。サムとレッドハルクのバトルはなんやかんや楽しいので好きです。まあただここまで贅沢な材料使ってると考えるともっとやれただろとも思う。

黒幕サミュエル・スターンズが全然天才に見えないのが問題です。大統領を手駒に置けるならもう頭脳とかじゃないやん。スターンズがやってることは最強のコマ、レッドハルクを配置してるだけでキングダムの李牧さながらの脳筋戦法に感じられる。「よんでました。頼みますよ、龐諼さん」

 

 

以下はどうでもいいです。別に嫌いではないけどどうでもいい。『ソー』とかはピーターのセリフ大好きなんですがガーディアンズの手柄なのでノーカン。

こうまとめてみると打率は悪いな。Tier Sですらそこそこの欠点があってこれに比べたら『インフィニティ・ウォー』とかSSSになってしまう可能性は高い。マルチバースサーガのあかんかったとこは下記2点につきます。「主軸のわからなさ」「プロモーションの下手さ」。

 

主軸に関しては例えばインフィニティ・サーガは最悪アイアンマンが出てる映画さえ見てればなんとかなったわけですよ。これがないでしょ。多分仕方ないとこがあってチャドウィック・ボーズマンを主軸に据えようとしてたんじゃないでしょうか。俺はストレンジでもよかったと思うんですが、よる多様性の波を考えるといかにもな白人エリートの缶バッチは主人公に置きづらいしね。さらなる後釜をシャン・チーにすべきかスパイダーマンで行くか迷ってるうちにゴタゴタしちゃったんじゃないすかね。

そこでMCUが狙おうとしたプランはおそらく敵キャラ「カーン」を主軸にしてしまう方法。でもここにマルチバースの食い合わせの悪さがあってカーンっていっぱいいることが強みの一つなので特定のカーンに入れ込みづらいんです。多分ヴィクター・タイムリーとかナサニエルとかのカーンの変異体いっぱいで盛り上げる予定だったんだろうな。でもアントマン3でメチャクチャにコケてしまったと。

じゃあ今度はヒットしたやつを主軸にするしかなくなっちった。直近の『デップー3』からの映画4作のキャラはフィーチャーされまくってますもんね。プロモの中で。でもそれじゃ積み重ねが足りないよ、、。サムでさえドラマと映画一つずつしか出てないし。

 

プロモーションは本当下手くそだと思う。まず、エンドゲームからつながる、、。をやりすぎなんよ。まあ100歩譲ってそれはいいとして、サプライズを釣りの餌だと捉えてしまったのが救いようない。『スパイダーマンNWH』は仕方ないとして『ドクター・ストレンジMoM』でもチャールズ出るかもとかやってたし。あんなのはプロモーションで教えるなよ。まじで。急に出てきてびっくりするのが楽しいんでしょうが!

そしてドラマを中途半端に本筋に繋がるとか言っちゃったせいでライト勢の反発がすごいことに。結局あんまり関わってこなかったし。映画館で見てワクワクする展開を先出しすぎなんですよ。例えば『デップー3』のサプライズも公開前日に明らかにされたし。『キャップ4』のレッドハルクを先に見せちゃうのも、まあロス出す時点でモロバレとはいえ映画見てみたらラストのサプライズだったからな。

そして最たるクソプロモーションが現在やってる『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』のプロモです。皆さんは知ってますか?椅子配信を。これは映画に出るキャストの名前が書かれた椅子を写していくことで誰が出るか教えてくれるというプロモですが10分に一度しか新しい椅子を写さないため、最終配信時間は5時間に上った。ふざけんなよ。そしてその配信のせいで直近に公開した『サンダーボルツ』で誰が死ぬかわかるという。

また『アバター/ファイア・アンド・アッシュ』をみにきた人だけが見れる予告もクソだった。予告とは言いつつバリエーションが四種あるし見てわかるのは登場キャラだけ。こっちとしてはさ、誰が出るかよりどんな話かでワクワクさせて欲しいの。そんな小出しにせずにガツンと面白そうな予告を出せよ。こんなん見て「考察」とか本当アホらしいっすよ。しかも3/4は過去キャラでフェーズ4以降の新キャラは全然フィーチャーされねえし。

 

 

俺は『ヤング・アベンジャーズ』『ドクター・ストレンジ3』『ムーンナイト2』『ミッドナイト・サンズ』が見たかったよ。まじで。ブイブイ言わせてる時期に作ってくれりゃよかったじゃん。『シークレット・インベージョン』とかもっと面白くできたじゃん。誰がスクラルなのかわからない緊迫感なんて絶対面白いやん。なぜドラマに出てきた敵キャラのドラマをさらに作るの?ネイモアのドラマとかやってくれりゃよかったじゃん。

ないものねだりばっかですがMCU大好きだったんでね。今も好きだよ、だから頑張って。

最後に今後達成されたら嬉しいことをまとめます。いつか達成された時にここに戻ってこれるように。

 

・ミッドナイトサンズ結成

・X-MENが面白く映画化orドラマ化されてサイクが活躍する

・ムーンナイトがもっと面白くなる。アリ・アスターテイスト希望ですが面白かったらなんでもいい。

・F4が活躍する

・セントリーが活躍する。化け物テイストのヴォイドが出る。

・賢いアダムが出る。

・ダークアベンジャーズやる。ワルかっこいいアイアンパトリオットが見たい。

・ジェフのアニメシリーズ。グリヒルベース希望。

 

多いが夢を見るのは自由。別に達成されなくても面白けりゃなんでもいいです。