
タイトル:ワンダーマン
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
形態:ドラマ
既か未か:未
『ワンダーマン』みた。
ついにきたMCU。そして絶賛低迷中のMCU。残念ながら。
知っている方も多いと思うが『エンドゲーム』で世界をとったシネマティックユニバースシリーズMCUはそれ以降緩やかに勢いを衰え、ついに当たりそうな作品以外は作れなくなってしまった。予定されてた『ブレイド』や『アーマー・ウォーズ』はたち消えになり本命作品『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に力を入れるだけとなってしまった。
当たりそうな作品と言っても2025年の3作、『キャプテン・アメリカ4』、『サンダーボルツ』や『ファンタスティック・フォー』は別にヒットしたとは言えず空気は冷めつつある現状。ちなみに『ドゥームズデイ』に力入れてると言っても正直、俺目線、プロモーションの仕方もうまくはないし、ルッソやダウニーJrといった置きにいってる感もダサいしあんまり期待してない。
そんな中の本作の立ち位置はというと「マーベルスポットライト」といったもので本筋のシネマティック・ユニバースとは一線をおいたディズニー+オリジナルシリーズ。意外なことにこっちは評価も高くうまくいってる。一昨年かな?の『アガサ』とか『デアデビル』もまあ成功してた部類でしょう。ちなみに『デアデビル』はともかく『アガサ』等、マーベルからは全く期待されてないのか宣伝にも全然力が入ってない。本作『ワンダーマン』なんかはまさにそうでひっそり全話公開した後、トマトとかで高評価受けてるのを見て慌てて宣伝し出したりもしてた。
本作概要的にはあんまりヒーロードラマをやりたいわけではないっぽくて『ザ・スタジオ』的なハリウッド裏側ドラマをやりたい感じ。ワンダーマンというのも主人公のヒーロー名ではなくて主人公が獲得したがってる映画の役という内容。主人公サイモンは実はスーパー能力を持っているが積極的に活用するわけではなく、むしろ隠したがっている。というのも別に内容パートで書けばいいが、諸々あってパワー持ちは俳優になれないという条項がハリウッドにはあるからだ。サイモン自身は演技の才能はあるっぽいが役に関して過剰に入れ込んでしまったり、パワーを隠そうとしたりで自分を表現することが難しいっぽい。
マーベルとしての本作の大きな繋がりはトレヴァー・スラッタリーというキャラクターの存在。彼はもはやちゃんと見てる人しか覚えていないが『アイアンマン3』に登場したキャラクターだ。同作でテロリスト集団「テン・リングス」のボス、マンダリンの隠れ蓑として偽マンダリンを演じていた売れない俳優。その後、『シャン・チー』でガチのマンダリンに報復するために誘拐されたりして現在に至る。気の抜けたおっさんという感じでコメディ・リリーフ。
トレヴァーは「ダメージ・コントロール局」というマーベル通じて登場する超人用の警察的な組織に使われサイモンの監視役として投入される。しかし、それ以上にトレヴァーはサイモンの師であり友として関係を築いていく。
そんなこんなで高評価なだけあって結構楽しんで見た。見たものの逆張りの逆張りセンサーが働いてそれなりじゃねという感想。ってかアガサにも同様の感情を抱いたし、マーベルスポットライトシリーズ自体があんまり合わないのかも。まあおすすめか否かの2択ならすごくおすすめなんですがね。
ネタバレあり
売れない俳優サイモン・ウィリアムズ(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は演技力はあるものの、自分の役柄を過剰に考察したり、監督にそれを進言したりする厄介な存在。そんな性格のせいでようやく手に入れた役も取り逃がしてしまう。さらに恋人からもありのままの自分を見せてくれないと離れられてしまう。そんな中、出会ったのがかつてテロリストのマンダリンを演じていた偽マンダリンことトレヴァー・スラッタリー(ベン・キングスレー)。彼からサイモンが俳優を目指すきっかけとなった「ワンダーマン」がリメイクされることを聞き急遽オーディションに参加する。友としてサイモンにアドバイスをくれるトレヴァー。二人はどんどん仲良くなるが実はサイモンにはスーパーパワーを持つという秘密がある。そして実はトレヴァーはその能力の監視のため、あわよくば捕まえるためにダメージコントロール局から送られた手先だった。
「ワンダーマン」リメイクの存在を通してサイモンが自分自身と向き合う、そしてトレヴァーとの友情を育むドラマ。一応背景情報的に述べると、前述したとり、この世界では能力者が事故を起こしたことをきっかけに「ドアマン条項」というものがあり、能力持ちは俳優になれない。だからサイモンはひた隠しに生きているがそれこそが本来の自分を出せないこととリンクしており私生活、演技共に上手くいかない。
サイモンは家族とも上手くいっておらず、母は自分を愛してくれるものの、結果を出せていないということも相まって実家に帰りたくない。そんな中、能力の調査も込めて実家に着いてきてくれるトレヴァー。本当の自分と折り合いをつけることができないサイモン。一方でトレヴァーも偽マンダリンという過去に縛られたり(イメージはダニエル・ラドクリフみたいな感じ。ハリー・ポッター役が有名になりすぎて誰もそれ以外で自分を見てくれない)あってお互いにお互いの良き友として友情を育んでいく。
サイモンの能力を偶然目撃してしまうトレヴァーだったが、そしてその時に記録カメラをつけていたもののカメラを破壊、ダメージコントロール局よりサイモンとの友情を選ぶのだった。
オーディションに奇跡的に合格したサイモンとトレヴァーはコールバックに呼ばれることになる。ハリウッドに詳しくないのであんま知らんが最終面接みたいなものか。監督の家に呼ばれて他の候補者とともに演技を行う。しかし即興演技を求められているにも関わらず、サイモンは他の映画の引用を行なってしまい、監督の機嫌を損ねる。ちなみに監督役の俳優は『スーパーマン』でボラビア共和国の大統領役をしてた人。申し訳ないがその影響で悪人に見える。
監督や他の候補者の「自分を出せ」というアドバイスにサイモンは能力を完全に解放する悪夢を見る。しかし、トレヴァーの「自分というものは隠された本性などではなく今まで積み重ねてきた経験だ」的な温かい言葉を胸に再チャレンジ、見事ワンダーマン役を手に入れる。そしてワンダーマンの相棒役、バーナビー役をトレヴァーも獲得。理想的な展開だ。
しかし、撮影が進むにつれトレヴァーはダメコンとの間で板挟みとなり、また、凄腕記者の追及もあり、ついにサイモンに監視していたことがバレてしまう。トレヴァーも友情を取ろうとしていたとはいえ言い訳はできない。その夜、サイモンはついに感情を爆発させてしまい、能力によって撮影セットを文字通り爆発させてしまう。一応言っておくと説明はされなかった?がサイモンの能力はイオンを操るものっぽく、(ショッピングモールではなく化学用語ね)これまでも机を破壊したり、壁をぐちゃぐちゃにしたりしていた。
サイモンはもうあかんわってなって実家に帰る。能力がバレたら「条項」のせいで俳優としてやっていけなくなるし。しかし、トレヴァーから連絡が来てテレビを見るとトレヴァーは全ての罪を背負っていた。具体的にはマンダリンをもう一度演じ、撮影セットの爆破を自身の仕業と見せかけたのだ。トレヴァーの連絡は「君は素晴らしいものを手に入れた。そしてそれを邪魔する権利は俺はもちろん、誰にもない」的な感じだった気がする。そしてトレヴァーは逮捕されバーナビー役には代役が置かれる。見事ヒットしたワンダーマン。サイモンはこれにテスター街道を歩み始める。
そんな中、元カノと再会。喋っているうちに元カノは実はサイモンがスーパーパワーを持っていることを知っていたという。ただサイモンに自分から伝えて欲しかったのだ。元カノの思いに気づいたサイモン。それは自身がトレヴァーに思っていたことと同じだったかもしれない。
とある家に撮影の取材に行くサイモン。現地の情報を知って役作りするために職場にこっそりつれて行って欲しいという。着いて行った先はなんとダメージコントロール局。サイモンは暴走ではなく自身の力で能力を使いこなしダメコンの牢屋からトレヴァーを連れて脱出する。
勢いで全部書いたがラストの静かな展開はほんとよかったです。サイモンはうだうだ言わずに元カノとの交流を通じて黙りこくって即行動してトレヴァーを助けに行く。能力バトルとかはなかったけど、そこが主眼じゃないし、まあいい作品でした。
今作はそれだけで終わればまあ普通の記憶にも残らん素敵なドラマ程度なんですが、なんと言ってもトレヴァー・スラッタリーのワンダーはいいポイントですね。というのもトレヴァーなんて『アイアンマン3』で出た時はちょっとしたキャラでしかなくて、『シャンチー』の再登場をもってしても別にテンションが上がるわけでもないほどだったのに今作でキャラとして一段階上に行きましたね。
ここにあるのはやっぱりシリーズを続けて行った結果としてのワンダーがあると思います。シリーズってどんな形であれ続けていけば「時間」という名の積み重ねが絶対にできるわけですよ。どんなにクソなシリーズでも。その積み重ねが生むワンダーをダイレクトにぶつけられた感覚。例えば、これ系で一番思い浮かぶ映画がシャークネードなんですが、知らん人ように説明するとシャークネードってヘンテコパニック映画から徐々に主人公フィンとその家族の物語にシフトチェンジしてるんすよね。まあヘンテコパニック路線はそのままだけど。だから最終作、『シャークネード/ラストチェーンソー』でのフィンの選択、世界をとるか家族を取るかっていう2択に謎の感慨深さが着いてくるんですよね。1見てる時は全然フィンに思いを馳せてなかったのに。
ジャパニーズ漫画で例えるなら刃牙で言う、「本部が武蔵を倒した瞬間」とか、ドラゴンボールで言う「サタンが元気玉手伝った瞬間」とか見たいな、積み重ねた結果どうでもよかったようなことに特別性が生まれるって言うのが最高です。トレヴァーなんかまさにその典型で、ここまで良キャラになるとはね、、。
まあここまでトレヴァーについて書くってことは申し訳ないことにサイモンに関しては対してなんも思わなかった。葛藤とかもわかるしいいキャラではあるんだけどね。まあやっぱペアとしてみたいね。サイモンとトレヴァーの。サイモンは若すぎるわ。「ワンダーマン」のオーディションにも半ばズルみたいな形で参加してるし。別に嫌いではないんよ。でもサイモンだけじゃ流石にもっと埋もれるドラマになってただろう。
そしてMCUとしても書くことがほぼない。もちろんダメージコントロール局と言う繋がりはあるんだけど、毎回出てくるあの職員以外にどうも思い入れが湧かない。あの職員は事故を防ぐために嫌な役回りを背負ってる感じで、『シビル・ウォー』のロスを思い起こさせる程度にはあるんだけど。そして今のMCUの余裕的にサイモンとトレヴァーはほとんどの確率で今後出てこないので本当になんも言えねえ。もうこっちとしてはせっかくドラマ見て好きになってもキャラが出てこなけりゃ意味ないんでね。俺の大好きな「ムーンナイト」も2度て出てこねえだろうし、同じ枠なら「エコー」とか「シーハルク」も2度と出てこねえだろ。割と楽しんだから残念ですが。
ボリウッドとはいえ、せっかく俳優ものなら『エターナルズ』のキンゴとか出したらよかったんじゃないすかね。トレヴァーが面白く絡んできてくれた分、他の全くMCU味のないドラマよりはよかったけど。『ウェアウルフ』とかな。
まあそんな感じで割と楽しんだけどそれなりにドラマ本体じゃない部分に文句が出てくる感じだ。何が腹立つって『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』は過去の遺産に頼りっきりで俺が、俺たちが育てようとしてきた新顔は全然でなさそうなことですね。サイモンはもちろん、ムーンナイトだって、カマラちゃんも、ヤングアベンジャーズも、チャベスだってみんな出てこないだろ。現状予告で出てる新顔はF4とネイモアくらいしかおらず、あのしょうもない椅子のプロモーションでも確定したのはサンダーボルツメンバーくらいなもんだ。これ以上書いたら脱線しまくりなので新しくページを作って書く。今後のMCUについて。
ワンダーマンは良作なので暇な時にでもみんな見るといいよ。損はしないから。













